日経平均株価~21,000円超えの次は?

市川レポート(No.442)日経平均株価~21,000円超えの次は?

  • 日本株は、内外要因に対する懸念が後退し、足元で世界的な出遅れを一気に修正する動きに。
  • 上昇のきっかけは海外投資家の先物買い、10月第1週には現物も買い越し、株高の流れが加速。
  • この先、海外投資家以外の投資主体の動きが重要、22,000円到達を見込むが時期は来年か。

 

日本株は、内外要因に対する懸念が後退し、足元で世界的な出遅れを一気に修正する動きに

足元で日本株の上昇ペースが加速しています。日経平均株価は10月13日、9営業日続伸し、約21年ぶりの高値水準となる21,155円18銭で取引を終えました。背景には、国内要因として、①衆議院総選挙に関する複数の世論調査で与党優勢の見通しが示され、政局不安が後退したこと、②小売業の2017年3-8月期決算が好調だったため、今後本格化する3月期決算企業の2017年4-9月期決算への期待が高まったこと、などがあると思われます。

また、海外要因として、①北朝鮮にミサイル発射実験などの動きがみられず、地政学リスクへの警戒心が和らいだこと、②10月から米連邦準備制度理事会(FRB)のバランスシート縮小が始まったものの、金融市場に大きな混乱がみられていないこと、などが挙げられます。そのため、世界的にやや出遅れ感の強かった日本株に、一気に買いが集まったものと推測されます。

 

上昇のきっかけは海外投資家の先物買い、10月第1週には現物も買い越し、株高の流れが加速

実際に日経平均株価の動きをみると、2016年12月30日から2017年9月29日までは、主要株価指数のなかでも、パフォーマンスは低調なものにとどまっていました。しかしながら、2017年9月29日から10月13日までは、最も好調なパフォーマンスに転じています(図表1)。なお、このところの日本株の上昇を主導したのは、海外投資家である可能性が高いと思われます。

図表2をみると、日本株は海外投資家が大きく買い越す局面で上昇に弾みがつく傾向が確認できます。直近で、海外投資家は9月第2週から大幅に先物を買い越していますが、これが裁定業者による裁定買い(先物売りと現物買い)を促し、現物株上昇のきっかけになったと考えられます。更に海外投資家は、10月第1週に現物も買い越しており、これが株高の流れを加速させたと思われます。

 

この先、海外投資家以外の投資主体の動きが重要、22,000円到達を見込むが時期は来年か

10月13日時点で、日経平均株価のRSI(相対力指数)は82.0%、東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)は137.9%と、買われ過ぎとされる水準(一般にそれぞれ70%、120%)を超えています。そのため、短期的な調整売りはある程度、想定しておく必要があると思われます。なお、海外投資家の日本株買いが継続するかについては、不確実性が高いと言わざるを得ません。そのため、ここからは海外投資家以外の投資主体の動きが重要になります。

弊社は、日経平均株価について2017年12月末の着地を21,500円と予想していますが、12月末前に達成する公算が大きくなりつつあります。この水準では、足元の好材料がほぼ織り込まれるため、更なる株高には、今後も世界的な景気回復と日本企業の業績持ち直しが続くことを市場が確認する必要があります。それには今しばらく時間を要すると思われ、日経平均株価が22,000円に到達する時期は、来年になる可能性が高いとみています。

 

 

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(2017年10月16日)

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