経済対策を巡るシナリオと政策相場の持続性

2016/05/25

市川レポート(No.251)経済対策を巡るシナリオと政策相場の持続性

  • 首脳宣言で財政に関し足並みを揃えるのは困難、注目は消費増税の扱いと補正予算の規模。
  • 消費増税はぎりぎりの判断になる見通しで、民進党岡田代表の延期提案でタイミングの後ずれも。
  • 増税はやはり日本株にネガティブだが、再延期でも判断が遅れれば株価の支援効果は弱まろう。

首脳宣言で財政に関し足並みを揃えるのは困難、注目は消費増税の扱いと補正予算の規模

5月26日、27日に主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を控え、財政出動への期待が日経平均株価の下値を支えているように見受けられます。そこで今回は、経済政策に関するシナリオをいくつか想定し、政策相場の持続性について考えてみます。目先の注目点は、①サミット首脳宣言で財政出動に関し、どれだけ足並みを揃えたメッセージを打ち出せるか、②日本政府がどのタイミングで消費増税と補正予算の規模に関する判断を行うかです。

ただ①については、5月20日、21日の主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で、財政出動は各国がそれぞれ判断するとしたため、足並みを揃えた強いメッセージを期待することは難しいと思われます。なお為替に関しては、ドル円が1ドル=110円台への戻りをみたこともあり、競争的切り下げの回避など従来の合意を確認するにとどまりました。日米ともこれ以上の対立は得策ではないと判断したように思われます。

消費増税はぎりぎりの判断になる見通しで、民進党岡田代表の延期提案でタイミングの後ずれも

②について、消費増税を予定通り実行するか再延期するかで補正予算の規模も変わってきます。なお補正予算はすでに熊本地震の復旧・復興対策を盛り込んだ総額7,780億円が5月17日に成立しているため、正確には第2次補正予算となります。市場では消費増税の再延期と5兆円程度の第2次補正予算編成という期待が強い一方、麻生財務相などは予定通り消費増税を実施すると述べており、安倍政権はぎりぎりの判断を迫られると思われます。

仮に6月1日の通常国会閉会前に消費増税の再延期を決定した場合、野党側からアベノミクスは失敗したと厳しく追及されることが予想されます。そのため閉会後に再延期を決定するとの見方が浮上していますが、これに対し民進党の岡田代表は5月18日の党首討論で、安倍首相に対し再延期を提案する策に打って出ました。これにより安倍首相が再延期を決定した場合、野党は自らの提案を安倍政権が受け入れたと主張し、7月の参院選に臨むことができます。

増税はやはり日本株にネガティブだが、再延期でも判断が遅れれば株価の支援効果は弱まろう

そのため安倍政権が消費増税に関する判断を7月の参議院選挙後に持ち越すとの見方もあります。ただこの場合、補正予算の規模や経済対策の発表も先延ばしとなりますので、政策期待が後退し、日本株は軟調な動きを強める恐れがあります。また7月の参議院選挙に先行する6月15日、16日の日銀金融政策決定会合に過度な注目が集まりかねず、好ましい展開ではありません。

日本株にとって、やはり消費増税が予定通り行われるか再延長されるかが焦点です。予定通りの実施となれば、仮に10兆円超の第2次補正予算編成や追加緩和が行われたとしても、日本株はネガティブな反応を示す可能性があります。一方、再延期と5兆円程度の第2次補正予算編成、さらに追加緩和が加われば、日本株にはポジティブと考えます。ただしそれらの判断が遅れるにつれて期待感が後退するため、株価に対する支援効果は弱まるとみています。

160525図表1160525図表2

 

 (2016年5月25日)

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