日銀と日本株の関係

2015/06/03

市川レポート(No.84) 日銀と日本株の関係

  • TOPIXの前日比0.2%程度の下げが日銀のETF購入判断の目安と推測される。
  • 1月や5月に株価が反転した際、日銀の積極的なETF買いが見られた。
  • 日銀によるETF購入は需給面の好材料だが、マイナスの側面も考える必要がある。

 

TOPIXの前日比0.2%程度の下げが日銀のETF購入判断の目安と推測される

 日銀は2014年10月31日に量的・質的金融緩和を拡大した際、上場投資信託(ETF)および不動産投資信託(J-REIT)について、保有残高がそれぞれ年間約3兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう、これまでの3倍の規模で買い入れることを決定しました。また新たにJPX日経インデックス400に連動するETFを買い入れの対象に加えることも発表しました。通常、中央銀行と株式相場との間には直接的な関係はありませんが、日本では量的・質的金融緩和政策の一環として、日銀は積極的に日本株を購入しています。

 日銀はETFやJ-REITを購入する基準について公表していませんが、以前は東証株価指数(TOPX)の前場終値が前日比1%超下がると、午後に日銀がETF購入に動いて株価を下支えるとみられていました。そこで改めて最近の株価変動と日銀のETF購入の関係について整理してみます(図表1)。2015年1月5日から6月1日までの100営業日のうち、TOPIXの当日前場終値が前日終値より下がったのは42営業日で、日銀がETFを購入したのは36営業日でした。下落率と購入日の関係をみると、年明け以降は0.2%程度の下げが購入判断の目安になっていると推測され、かつての1%超からは購入条件がかなり緩和されているように思われます。  

1月や5月に株価が反転した際、日銀の積極的なETF買いが見られた

 2015年1月5日から6月1日まで、日銀は総額1兆2,667億円のETFを購入しています。月別にみると1月が最も活発で、19営業日のうちTOPIXの当日前場終値が前日終値より下がった10営業日で全てETFを購入し、単月で総額3,443億円に達しています。1月の日本株は1月中旬にかけて軟化したあと、月末にかけて値を戻しています。もちろん日銀が全てを買い支えている訳ではありませんが、2日に1回、平均して約344億円の買いが入るため、日銀マネーの動きは市場関係者の注意を相応に惹きつけたと思われます。

 また最近では、欧州発の世界的な国債利回り上昇を嫌気し、日本株は4月下旬からやや調整色を強めましたが、日銀はゴールデンウィーク中の4月30日、5月1日、5月7日と、3営業日連続で360億円を超えるETF購入に踏み切りました。その後TOPIXは一時的に割り込んだ1,600ポイント台を回復し(図表2) 、日経平均株価も2万円台を回復しました。こちらも日銀効果とは言い切れませんが、やはり市場心理にいくらかの影響を与えたと考えられます。

日銀によるETF購入は需給面の好材料だが、マイナスの側面も考える必要がある

 このような日銀によるETF購入の動きは日本株にとって需給面での好材料となります。しかしながら、中央銀行が長期にわたって株式市場や国債市場に直接関与し続けることは、市場の健全な価格形成機能を損なうことにつながりかねず、好ましい状態とはいえません。また日銀がETFを購入することにより、一部銘柄の流動性が低下し、価格変動率が拡大しているとの声も市場で聞かれ、やはり良い面ばかりではありません。日銀はこの先、ETFの購入増額によって追加緩和を行う可能性があります。実際に増額となった場合、それによる相場へのマイナスの影響も十分考えておく必要があると思われます。

 150603 図表1150603 図表2

 (2015年6月3日)

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