米政府閉鎖は土壇場で回避~まだ残る閉鎖リスクの見極め方
米政府閉鎖は土壇場で回避~まだ残る閉鎖リスクの見極め方
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- 11月17日までのつなぎ予算が9月30日に成立したことで、米政府機関の閉鎖は土壇場で回避。
- ただ新会計年度の正式な予算成立遅延なら11月中旬頃再び政府機関の閉鎖リスクが高まろう。
- 閉鎖でも短期間ならば経済や市場への影響は限定的、閉鎖リスクを過度に懸念する必要はない。
11月17日までのつなぎ予算が9月30日に成立したことで、米政府機関の閉鎖は土壇場で回避
米連邦議会では、新たな会計年度となる10月1日からの政府予算案をめぐり、与党・民主党と野党・共和党内の間で協議が難航、予算の成立期限が9月30日の深夜に迫るなか、政府機関閉鎖の懸念が高まっていました。上院(民主党が多数派)は9月28日に、予算執行を11月17日まで可能にする「つなぎ予算」(国内の災害対応とウクライナ支援を含む)をまとめましたが、下院(共和党が多数派)の反対にあいました。
一方、下院では、予算執行を10月31日まで可能にする独自のつなぎ予算(大幅な歳出削減や国境警備対策を含む)を採決しましたが、共和党の強硬派議員が反対票を投じ、否決されました。しかしながら、上下両院は9月30日、予算執行を11月17日まで継続できるつなぎ予算案を超党派で可決、バイデン米大統領が同日に署名して成立した結果、政府機関の閉鎖は土壇場で回避されました。
ただ新会計年度の正式な予算成立遅延なら11月中旬頃再び政府機関の閉鎖リスクが高まろう
今回のつなぎ予算では、上院の案に含まれていたウクライナ支援は、共和党内に反対の声が多かったこともあり、除外されましたが、国内の災害対応は盛り込まれ、また、共和党の強硬派が求めていた国境警備対策の強化は除かれました。上下院で必要な賛成票を得られるよう、マッカーシー下院議長(共和党)がそれぞれの案を修正し、成立を主導する格好となりました。
なお、つなぎ予算による予算の執行は11月17日までとなるため、それまでに、①新たな会計年度、すなわち、2024会計年度(2023年10月1日~2024年9月30日)の正式な予算を成立させるか、もしくは、②つなぎ予算を再び成立させるかが、必要となります。そのため、正式な予算の成立が遅れた場合は、11月中旬頃に再度、政府機関の閉鎖リスクが高まると予想されます。
閉鎖でも短期間ならば経済や市場への影響は限定的、閉鎖リスクを過度に懸念する必要はない
共和党の強硬派議員からは、マッカーシー下院議長の解任動議を提出するとの発言も聞かれ、今後も共和党内の対立は続く見通しです。ただ、米国では来年、大統領選挙を控えており、共和党内の対立が政府機関閉鎖の一因となれば、大統領選挙で政権奪還を目指す共和党にとって、マイナスとなりかねず、政府機関を閉鎖してまで強く対立する利点は少ないように思われます。
仮に、政府機関が閉鎖した場合、1週間でGDP(四半期年率)は0.1%~0.2%程度下押しされるとの見方が市場では多く、短期間なら実体経済への影響は軽微と推測されます。また、閉鎖による金融市場の混乱も懸念されますが、過去の例をみる限り、深刻な状況には陥っていないことが確認されます(図表)。そのため、この先も、閉鎖リスクは残りますが、過度に懸念する必要はないと考えています。
(2023年10月2日)
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