ここからの日経平均株価をどうみるか

ここからの日経平均株価をどうみるか

  • 日経平均は6月3日、三角保ち合いの上値抵抗線を上抜けたものの結果的には「だまし」となった。
  • 背景にあったのはSQ算出に絡む一時的な需給変化、今回はFOMCが上抜け、下抜けに影響か。
  • 世界的な株安のなかで日経平均も厳しい状況にあるが、長期的にみれば上昇トレンドは継続中。

日経平均は6月3日、三角保ち合いの上値抵抗線を上抜けたものの結果的には「だまし」となった

先月から足元までの日経平均株価の動きを振り返ってみると、5月12日に25,688円11銭の安値をつけた後(取引時間中、以下同じ)、徐々に水準を切り上げ、5月23日には27,000円台を回復して取引を終えました。その後も堅調な推移が続き、6月9日には、一時28,389円75銭の高値をつけましたが、翌日以降、堅調地合いが一転し、6月14日には一気に26,357円90銭まで下落しました。

なお、5月24日付レポートで解説した通り、日経平均株価は年明け以降、「三角保ち合い(さんかくもちあい)」を形成しており、テクニカル分析では、上値抵抗線を上抜ければ大幅高、下値支持線を下抜ければ大幅安につながると解釈されます。日経平均株価は、6月3日に上値抵抗線を上抜けましたが、前述の通り、地合い一転で大幅高にはつながらず、いわゆる「だまし」となりました(図表1)。

背景にあったのはSQ算出に絡む一時的な需給変化、今回はFOMCが上抜け、下抜けに影響か

先週、日経平均株価の堅調地合いが一転したのは、6月10日に算出された特別清算指数(SQ)の影響が大きいと思われます。詳細は6月8日付レポートで解説していますが、SQが算出される週は、清算価格を巡る思惑的な売買が膨らみやすい傾向があります。そのため、日経平均株価は、SQ算出前の一時的な需給要因で大きく上昇し、SQ算出後は需給要因の剥落で大きく下落したと考えられます。

この点を踏まえると、三角保ち合いの上値抵抗線の上抜けは、SQ絡みによるものである公算が大きく、結果的にだましになってしまったと解釈されます。日経平均株価は現在、再び三角保ち合い内で推移しており、改めて上抜けか、下抜けかが注目されますが、今回は、日本時間の明日午前3時に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が、大きく影響すると思われます。

世界的な株安のなかで日経平均も厳しい状況にあるが、長期的にみれば上昇トレンドは継続中

海外に目を向けると、米国で金融引き締めが加速するとの懸念が強まり、ダウ工業株30種平均とS&P500種株価指数は連日年初来安値を更新、米株安の流れが世界の株式市場に広がっています。米国の景気後退を懸念する向きも増えつつあることから、株式市場は、米景気が冷え込む前にインフレが沈静することを確認できるまで、不安定な動きが続く恐れもあります。

日経平均株価にとっても、しばらく厳しい環境が予想されますが、少し長期の視点でみると、上昇トレンドは継続中です(図表2)。このトレンドの下値支持線を年末まで伸ばすと、6月末、9月末、12月末の水準は、それぞれ25,450円、25,900円、26,350円となります。日経平均株価が、各時点でこれらを大きく下抜けることがなければ、年末にかけて値を戻していく可能性は残ると考えています。

(2022年6月15日)

 

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