米中合意と英保守党勝利の報道で市場はリスクオンへ

市川レポート 米中合意と英保守党勝利の報道で市場はリスクオンへ

  • 報道によると、米中が第一段階で合意、15日の制裁関税は見送り、既存の関税も一部撤廃へ。
  • 英総選挙の出口調査で保守党は368議席と過半数獲得の見通し、労働党は191議席で苦戦。
  • 日経平均は24,000円、ドル円は110円回復が視野、米中正式発表と英選挙結果は、要確認。

報道によると、米中が第一段階で合意、15日の制裁関税は見送り、既存の関税も一部撤廃へ

トランプ米大統領は12月12日、中国との大きな取引で合意は非常に近いと、ツイッターに投稿しました。これを受け、ダウ工業株30種平均など米主要株価指数は寄り付き後、大きく上昇する展開となりました。その後、日本時間の12月13日早朝、米国は中国との貿易協議で第1段階での合意に達し、トランプ米大統領の承認待ちであることが報じられました。

報道によれば、第1段階の合意には、①12月15日の対中制裁関税第4弾(1,600億ドル分)の発動見送り、②発動済みの一部制裁関税の撤廃スケジュール、③中国による米農産物の購入拡大、などが含まれるとみられます。また別途、トランプ米大統領は合意内容を承認したとの報道もみられましたが、日本時間の12月13日午前10時時点で、米中両国から正式な発表はまだありません。

英総選挙の出口調査で保守党は368議席と過半数獲得の見通し、労働党は191議席で苦戦

また12月12日は、英国で下院総選挙が行われ、こちらにも市場の関心が集まっていました。投票は日本時間の12月13日午前7時に締め切りとなり、直後に出口調査の結果が公表されました。それによると、定数650議席のうち、保守党が368議席で過半数を獲得し、改選前の298議席から大幅に上積みする見通しとなりました。一方、最大野党の労働党は191議席と、改選前の243議席から減少する見通しです。

現在、開票作業が進んでいますが、最初は労働党支持の強い選挙区から開票が始まります。その後、時間の経過とともに、保守党がどの程度、議席数を伸ばしていくかが注目されることになります。日本時間の12月13日午後12時頃には、200以上の選挙区で結果が判明し、大勢が明らかになるのは同午後3時頃、確定までには更に1時間程度、要するとみられます。

日経平均は24,000円、ドル円は110円回復が視野、米中正式発表と英選挙結果は、要確認

米中貿易協議の進展と、英下院総選挙の出口調査の結果を受け、少なくとも日本およびアジア各国の金融市場は、リスクオン(選好)の流れが強まると思われます。事前に予想していた米中貿易協議の展開は図表1の通りですが、今後、米中両国からの正式な発表で、ケース①となることが確定すれば、日経平均株価はバブル崩壊後の最高値(2018年10月2日終値24,270円62銭)更新や、ドル円の110円台回復と定着も視野に入ります。

英下院総選挙については、出口調査の結果を受け、ポンドが対米ドルで急騰しています(図表2)。今後、ジョンソン首相続投となり、欧州連合(EU)離脱のスケジュールが明確となれば、ポンド高の傾向はしばらく続くことも想定されます。この先、主要国の株価や国債利回りには、上昇圧力がかかりやすくなり、為替は相対的に日本円、スイスフラン、米ドルが減価し、英ポンドやユーロなどが増価する動きが予想されます。ただ、引き続き、米中の正式な合意発表、英下院総選挙の最終結果を見極める必要はあると考えます。

(2019年12月13日)

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