金融政策への思わくや米金融不安などから国内金利は大幅低下

2023/03/15

▣ 米金融不安が台頭

内外の金融市場は、米国でのシリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻に続き、シグネチャー・バンクの事業停止を受け、投資家のリスク回避姿勢が強まりました。米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引締めが、金融システムを不安定化させた格好です。米金融当局が2行の預金を全額保護すると決めた安堵感が広がっていますが、金融システムへの不安は依然としてくすぶります。

▣ 国内金利も大きく低下

国内の債券市場では、3月9日まで日銀の許容上限の0.5%に張り付いていた長期金利が14日には一時0.24%まで低下、超長期債利回りも大幅低下し、20年債利回りは1.0%を割り込みました(図表1)。

日銀が政策修正を見送り、国内債に買い戻しが強まったことに加え、米銀の相次ぐ経営破綻を受け、安全資産とされる国債を買う動きが広がったことや、FRBによる利上げ加速やターミナルレート(政策金利の到達点)引上げ観測が後退し、米長期金利が大幅に低下したことなどが主因と考えられます。

▣ FRBの積極的な引締め姿勢は後退か

足元の米銀の経営破綻は、FRBによる急激な利上げが一因(保有債券の価格下落、預金利率の引上げ等)とみられます。しばらくは、FRBは金融システムの安定に配慮しつつ、インフレ抑制に向けて引締め的な金融政策を続けていくことが見込まれます。

3月21、22日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げ見送りとの見方が出てきていますが、0.25%の利上げ継続の可能性の方がまだ高い状況です。もっとも、積極的な金融引締めには動きにくくなっており、米金利の上昇を抑制しそうです。

▣ 日銀の政策修正観測はくすぶる

国内では日銀の植田新総裁は金融緩和を続ける姿勢を示しています。ただ、債券市場の機能を歪めているイールドカーブ・コントロール(長期金利をゼロ%程度に誘導する長短金利操作、YCC)については修正に動くとの見方も根強く、ここまでの動きはやや行き過ぎとの見方もできそうです。

米金利はやや上昇しにくくなっていますが、米銀の経営不安が後退し、国内でも政策修正が再び意識されてくると、国内債のイールドカーブ(利回り曲線)はベア・スティープ化(利回り上昇・急こう配化)に転じることも想定されます。

 

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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