来週の金融市場見通し(2018年4月9日~2018年4月13日)
■来週の見通し
中国政府による米国製品への報復関税計画を受け、トランプ大統領が再び、中国製品を対象に追加関税措置を検討するよう指示するなど、米中の応酬が続いています。来週は、米中の貿易摩擦に加え、今週末の米雇用統計、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を受けた、米金融政策にらみ。3月の米消費者物価指数(CPI)、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨なども確認したいところです。
◆株価 : 米企業決算次第では上昇場面も
日経平均株価は、米中貿易摩擦をめぐる思わくなどを背景に、神経質な動きとなっています。これについては、米中の交渉により最終的には穏当な措置に落ち着くとの見方がある一方、トランプ大統領は強硬姿勢を示しています。いずれにせよ交渉は長期化が予想されるため、数か月間にわたり市場心理を圧迫しそうです。ただ、米国で本格化する1-3月期決算において主要企業の好業績が示されれば、日本株も一旦上昇する場面が見込まれます。
◆長期金利 : 一進一退
長期金利は低位ながら、米中の貿易摩擦への警戒などに振らされる展開。3日には株価が軟調な展開になったことを受け、安全資産とされる国債を買う動きが強まり、長期金利は0.025%まで低下しました。20年債利回り、30年債利回りは、約1年4か月ぶりの低水準に。来週は、米中貿易摩擦や、米金融政策をめぐる思わくに振らされる展開になりそうです。もっとも、強力な金融緩和は続くため、上昇余地は限定的とみられます。
◆為替 : レンジ内での方向感の乏しい展開
ドル円は、米中貿易摩擦の拡大懸念やトランプ政権の混乱などから上値の重い展開が続いています。一方、本邦機関投資家の期初のドル買い需要が旺盛であることや、堅調な推移を続ける米国景気を背景にドルの下値も堅いと思われ、来週は106円-108円程度のレンジ内での方向感の乏しい展開を想定しています。米国のインフレを占う上で重要な生産者物価指数や消費者物価指数の発表に注目が集まりそうです。
◆Jリート : 方向感を探る
東証REIT指数は、長期金利が低位で推移する中。分配利回りの高さに着目した買いなどから一時1,700ポイントを回復。株価の持ち直しから投資家心理が改善したことや、海外情勢の影響を受けにくいとの見方も押し上げ材料。ただ、週末は利益確定売りに押され、値を下げる動きに。予想分配利回りは依然として4%強と高い水準。内外の金融市場が落ち着いてくれば、上値を探る展開も。3月末の東京都心オフィス空室率も確認したいところです。
■来週の注目点
機械受注(2月) 4月11日(水)午前8時50分発表
機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額は、1月に前月比8.2%増の8,723億円となりました。これを受け内閣府は、機械受注の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置きました。
引き続き半導体などの受注が好調と見込まれる中、2月の機械受注についても増加を維持する見通しです。ただ今後、米中貿易摩擦が激化した場合には、日本企業の投資意欲にも影響を及ぼす可能性があるため、要注意です。
米消費者物価指数(3月) 4月11日(水)午後9時30分発表
米国の消費者物価指数(CPI)は2月に総合で前年比2.2%の上昇、食品とエネルギーを除くコアCPIは3か月連続の同1.8%の上昇となり、ともに市場予想程度となりました。
米国では、昨年のハリケーン特需の影響もなくなり、自動車の価格が新車、中古車とも下落するなど、総合CPIの上昇を抑制しているものの、一方で堅調な景気拡大を背景に、エネルギーや被服費などの価格上昇は緩やかながらも継続しており、同指数は3月も堅調な伸びが予想されます。3月は総合CPIで前年比2.3%程度、コアCPIで同2.1%程度の上昇を想定しています。
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