来週の金融市場見通し(2025年10月20日~2025年10月24日)
■来週の見通し
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は講演で、米国債などの保有資産を縮小する量的引き締め(QT)を今後数か月で停止する可能性があると語りました。QTを停止すればカネ余りの状況が続くことになります。また、米労働市場の下振れリスクを指摘したことから、米利下げが改めて意識されました。国内では、臨時国会召集へ向けた自民党と日本維新の会の連立協議が進んでいます。来週は首相指名選挙に加え、米企業決算、米中貿易摩擦をめぐる動きなども確認しながら、方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :投資家心理悪化により軟調か
今週の日本株は、荒い値動きとなりました。週初は、前週末の公明党の連立政権離脱の発表を受けて、国内政治が不安定化するとの懸念から売りが優勢となりました。ただ、自民党と日本維新の会の連立政権が発足する可能性が浮上し、高市氏が首相に就任する期待が高まったことから、買いが優勢となる場面もありました。
来週は、投資家の先行き不安の高まりから、軟調な動きが予想されます。米国の銀行における信用リスクの高まりや人工知能(AI)関連株の過熱感がみられることから、投資家の先行き不安が強まっています。米中対立の激化など追加の悪材料が出てくると、株価の下落幅が大きくなる恐れがあります。とはいえ、高市政権が発足し、いったん政治動向が落ち着くと、安心感が広がり、株価を押し上げる可能性もあります。
◆長期金利 :居所を探る
今週の長期金利は、国内政局の先行き不透明感から日銀の早期の追加利上げが難しくなったとの見方に加え、20年国債入札が無難な結果だったこと、米中間の貿易問題が激化するとの懸念が強まったこと、また米地銀の信用リスクへの警戒などから、前週末の1.70%から1.6%台前半まで低下する動きになりました。
来週は、居所を探ることになりそうです。自民党の高市氏、国民民主党の玉木氏のどちらが首相になっても財政拡張路線は変わらないとの見方は長期金利の押し上げ材料です。ただ、新首相が引き締め的な金融政策に難色を示すと金利が押し下げられることも想定されます。FRBが金融緩和を進める姿勢を示していることも、米金利とともに国内金利を押し下げる可能性があります。9月の全国消費者物価指数なども確認したいところです。
◆Jリート :底堅い展開か
今週のJリート市場は、公明党の連立政権離脱で国内の政治不安が高まったものの、自民党と日本維新の会が連立協議を開始したことで政治不安が和らぎ、上昇しました。今週末の分配金利回りは4.633%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)となりました。
来週は、自民党と日本維新の会の連立協議や長期金利の動向をにらみつつ、底堅い展開を見込んでいます。東証REIT指数(配当なし)1,950ポイント付近では一定の戻り売りが出ることが見込まれるほか、自・維連立協議が難航すると、再び国内の政治不安が意識され上値が重くなる可能性があります。とはいえ、不動産市況は良好な環境であり、値下がりした局面では下値を拾う買いや4%台半ばの分配金利回りに着目した買いも期待されることから下値も限定的になると見込んでいます。
◆為替:下値の堅い展開
今週のドル円相場はドル安・円高が進行しました。週初は、前週末に発表された公明党の連立政権の離脱を受け、高市氏の自民党総裁選勝利をきっかけとする円安の動きに歯止めがかかりました。その後は、米中関係の悪化懸念からドル売り・円買いが広がったほか、パウエルFRB議長が今月の会合での追加利下げを示唆したこともドル売りに拍車をかけました。
来週のドル円相場は下値が堅い展開が予想されます。21日に予定されている首相指名選挙において、高市氏が選出された場合には、再び円安が進行する可能性があります。米国では、消費者物価指数(CPI)の公表が予定されていますが、市場では年内あと2回の利下げが完全に織り込まれているため、利下げ期待のさらなる高まりからドル安・円高が進行する可能性は低いとみられます。
◆米国株 :投資家心理悪化により軟調か
今週の米国株は、良いニュースに対する反応は限定的である一方、悪いニュースに対する反応が大きくなり、上値の重い動きとなりました。今週発表された大手銀行決算は市場予想を上回る内容が相次ぎました。ただし、好決算を受けた大手銀行株の反応は限定的でした。他方、地銀株は一部の企業向けローンが不良債権となる可能性が明らかになったことで、急落しました。それを受けて、16日の米国株は全般的に軟調な動きとなりました。
来週は、軟調な動きが予想されます。今週に入り、投資家が市場の先行きに対して抱いている不安の大きさを示すVIX指数が上昇しています。こうした状況では、米中対立の激化など悪いニュースが株価を押し下げる影響が大きくなる可能性があります。他方、好決算が発表されても株価への影響は限定的になる可能性があります。
■来週の注目点
全国・消費者物価指数(9月)10月24日(金)発表
8月の全国・消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比2.7%上昇と前月(同3.1%上昇)から伸びが縮小しました。食料品の価格は高めの伸びが続いた一方、政府による電気・ガス代の補助金の再開がエネルギー価格を押し下げました。
9月の全国・コアCPIは伸びが拡大すると予想されます。比較対象となる前年同月に、電気・ガス代の補助金の再開がエネルギー価格を押し下げたことが大きく影響する見込みです。ただし、コメ価格の騰勢のピークアウトなどを背景に、日銀版コアCPI(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)は減速する見込みです。
米消費者物価指数(9月)10月24日(金)発表
8月の米国の消費者物価指数(CPI)は、総合指数が前年比+2.9%上昇と前月から伸びが拡大、変動の大きい食品・エネルギーを除くコア指数は同+3.1%上昇と前月から横ばいでした。関税の影響を受けやすい財価格は伸びが加速した一方、サービス分野では住居費の伸びが縮小しました。
9月の総合指数が前年比+3.1%、コア指数が同+3.1%程度の上昇が予想されています。エネルギー価格の上昇が続く一方、関税による物価上昇圧力は限定的にとどまることが見込まれています。
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