来週の金融市場見通し(2025年9月29日~2025年10月3日)

2025/09/26

■来週の見通し

米国の4~6月期の実質国内総生産(GDP)確定値が上方修正されるなど、景気の底堅さを示す経済指標が相次ぎ、米連邦準備理事会(FRB)が利下げを急ぐ必要はないとの観測が広がっています。他方、自民党総裁選の公開討論会では、候補者が減税について議論を続ける考えを示したことを受けて、次期政権の財政拡張が意識されています。来週は26日発表の米個人消費支出(PCE)価格指数を受けた米金融市場の動きや日銀短観などを確認しながら、米雇用統計、自民党総裁選を待つことになりそうです。

◆株価 :日米の経済指標に注目

今週の日本株は、上昇しました。週初は、先週の日銀の金融政策決定会合で決まった上場投信(ETF)の売却方針の影響が限定的との見方から、買いが優勢となりました。週末は、ソフトバンクグループやアドバンテストなどの人工知能(AI)関連株が下落したことが重しとなり、上げ幅を縮小しました。

来週は、日米の経済指標発表が注目されます。国内では、10月1日に日銀短観が発表されます。製造業の景況感が回復すると、市場は好感すると予想されます。米国では、企業の景況感や雇用に関する経済指標が相場を動かす材料となりそうです。これらの指標が好調な内容になると、米国の利下げ期待が後退し、株価の下押し圧力となる可能性があります。来週末に自民党総裁選を控えており、国内政治動向も相場を動かす可能性があります。

◆長期金利 :一進一退か

今週の長期金利は、上昇する動きになりました。日銀は19日まで開いた金融政策決定会合で政策金利の維持を決定しましたが、2人の委員が利上げを提案したことを受けて、追加利上げが近づいたとの見方が強まり、週初は一時1.665%と2008年7月以来の水準まで上昇しました。その後は、1.65%前後の狭いレンジでの動きが続きました。

来週は、日銀による利上げや次期政権の財政拡張が意識されていることに加え、米利下げ観測がやや後退しており、国内金利は低下しにくい状況が続きそうです。もっとも、一段の金利上昇局面では押し目買いも入りそうです。週末に米雇用統計、自民党総裁選を控え、様子見姿勢が広がることも想定されます。10年国債入札も確認したいところです。

◆Jリート :底堅い展開を見込む

今週のJリート市場は、引き続き半期決算を控えた金融機関によると思われる売りなどが見られたものの、底堅く推移し、上昇しました。今週末の分配金利回りは4.626%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)となりました。

来週は、長期金利の動向や自民党総裁選の戦局に関する報道を確認しつつ、底堅く推移する展開を想定しています。週末に自民党総裁選を控え、戦局をめぐる報道に神経質になることが見込まれます。戦局次第で、財政拡張懸念から長期金利が上昇するとJリート市場の下押し圧力となりそうです。とはいえ、値下がりした局面では下値を拾う買いや4%台半ばの分配金利回りに着目した買いが見込まれることから、下値は限定的になると見込んでいます。

◆為替:上値の重い動き

今週のドル円相場は、ドル高・円安が進行しました。インフレ再燃を警戒するFRB高官の発言に加え、米GDP確定値や米新規失業保険申請件数などの米国経済の力強さを示す経済指標などを受けて、ドルを買う動きが広がりました。週末にかけては、約2か月ぶりの水準となる1ドル=150円目前までドル高・円安が進行しました。

来週のドル円相場は上値の重い展開が予想されます。FRBの利下げ期待については、来週末に雇用統計を控えるなかで、大きく変動しないとみられる一方、日銀の利上げについては、日銀短観の結果次第で、市場の期待が高まる可能性があります。ただ、来週末に自民党総裁選を控えるなかで、積極的に円を買う動きは控えられることから、円高の進行余地は限定的とみられます。

◆米国株 :経済指標に注目

今週の米国株は、軟調な動きとなりました。GDP統計や雇用関連指標が市場予想を上回ったことを受けて、米利下げ期待が後退したことが、株価を下押ししました。最近上昇が続いていたAI関連株が調整したことも、相場の重しとなりました。

来週は、10月1日に発表されるISM製造業景況指数やADP雇用統計などの経済指標が注目されます。今週は、好調な経済指標発表を受けて、利下げ期待が後退しましたが、これらの経済指標を受けて、一段と利下げ期待が後退すると、株価を圧迫することが予想されます。また、米政府の一部機関閉鎖の期限が10月1日に迫る中、米国の政治動向も注目されます。9月末までに予算が成立せず、米政府が実際に閉鎖に陥った場合、今後の経済指標発表が遅れる可能性も浮上し、市場は嫌気しそうです。

 

来週の注目点

日銀短観(9月調査)10月1日(水)発表

日銀短観の2025年6月調査では、大企業・全産業の業況判断DI(ディフュージョン・インデックス、業況が「良い」と答えた企業の割合-「悪い」と答えた企業の割合)は+23%ポイントと、前回調査から横ばいとなりました。個人消費が力強さを欠くなかで非製造業が小幅に低下した一方、製造業は、原材料価格の低下などを受けて、素材業種がけん引する形で小幅に上昇しました。米国の関税政策の影響で自動車など一部の業種の景況感は悪化したものの、全体として底堅い企業の景況感が示されました。

9月調査の業況判断DIは横ばい圏での推移が見込まれます。非製造業では、個人消費の低迷が景況感の重しとなる一方、製造業では、米国の関税が引き下げられた自動車を中心に景況感が持ち直すと予想されます。

米雇用統計(9月)10月3日(金)発表

米雇用統計によると、8月の非農業部門雇用者数は前月差2.2万増と、市場予想を下回る伸びとなりました。民間サービス部門の雇用者数は前月から減速したほか、民間生産部門は4か月連続で減少するなど、幅広い分野の雇用が弱含んでいます。

9月の非農業部門雇用者数は前月差5.0万増、失業率は4.3%程度を想定しています。米国の関税政策による影響が強まるなかでも、直近の新規失業保険申請件数は減少するなど、民間企業が人員削減に踏み切る動きは限定的とみられており、雇用者数の減速が一服すると予想されます。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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