来週の金融市場見通し(2025年9月22日~2025年9月26日)
■来週の見通し
米連邦準備理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で6会合ぶりに利下げを決めました。また、FOMC参加者の政策金利見通しが切り下がりました。今後も利下げが継続し、米経済を支えるとの見方が広がっています。他方、日銀は政策金利を据え置くとともに、保有する上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)について、市場へ売却することを決めました。来週は22日に公示される自民党総裁選をめぐる思わくに加え、FRB高官の発言なども確認しながら居所を探ることになりそうです。
◆株価 :日銀のETF売りが重しに
今週の日本株は、大きく上昇しました。FOMCで0.25%の利下げが決まったことに加えて、年内に追加で0.5%の利下げを実施するとの見通しが示されたことが好感されました。半導体株は、米インテルの株価が急上昇したことが波及し、大きく上昇しました。
来週は、日銀がETFの売却を決めたことが投資家心理を悪化させ、軟調な動きになることが予想されます。日銀は18、19日の金融政策決定会合で、予想外にETFの売却計画を決めました。売却自体の株式市場への影響は限定的とみられますが、日本株は割高感が強まっていることから、今回の決定を受けて、利益確定売りが広がる可能性があります。とくに、最近急上昇しているソフトバンクグループやアドバンテストなどが下げに転じると、指数の下落幅が大きくなる展開も想定されます。
◆長期金利 :低下し難い
今週の長期金利は、20年国債入札が強めの結果と受け止められ、超長期債、長期債に買いが入り、一旦低下しました。ただ、パウエルFRB議長が金融緩和に前向きなハト派的な姿勢を示さなかったとの見方や、米経済指標の改善を受けて米金利が上昇したこと、また日銀会合で2人の審議委員が利上げを提案したことを受けて、長期金利は1.6%台前半まで上昇する動きになりました。
来週は、FRBが利下げを再開したものの、おおむね事前の予想通りだったことなどから、米長期金利が低下する動きになっていないことは、国内の長期金利の低下を抑制しそうです。また、日銀の利上げが意識されていることは国内金利の押し上げ材料です。一段の金利上昇局面では押し目買いが入ることも想定されますが、低下し難い状況が続く可能性があります。
◆Jリート :方向感を探る
今週のJリート市場は、半期決算を控えた金融機関からと思われる売りなどが一部で見られたほか、日銀が保有するJリートの売却方針を発表したことが売り材料となり、小幅に下落しました。今週末の分配金利回りは4.662%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)となりました。
来週は、長期金利の動向や自民党総裁選に関する報道を確認しつつ、方向感を探る展開を想定しています。引き続き金融機関の半期決算を控えた売りが見込まれるほか、自民党総裁選に絡む財政拡張懸念から長期金利が上昇するとJリート市場の下押し圧力となりそうです。とはいえ、値下がりした局面では下値を拾う買いや4%台半ばの分配金利回りに着目した買いが見込まれることから、下値は限定的になると見込んでいます。
◆為替:ドル安・円高余地は限定的か
今週のドル円相場は、一進一退の動きとなりました。週前半は、財政健全化を重視するとみられる小泉農水大臣の自民党総裁選への出馬を受けた、財政悪化懸念の後退などにより、1ドル=146円台までドル安・円高が進行しました。その後は、来年の利下げに慎重な姿勢を示したFOMCを受けて、148円台までドル高・円安が進行したものの、日銀の会合後は、日銀の10月会合での利上げ観測の高まりにより、147円台まで値を戻しました。
来週のドル円相場は、底堅い展開が予想されます。米国の経済指標がFRBの利下げ期待を左右する可能性がありますが、一段と利下げ期待が強まる展開は想定しにくく、ドル安・円高の進行余地は限られるとみられます。また、自民党総裁選を控えるなかで、円買いに傾きにくい状況が続くとみられます。
◆米国株 :FRB高官の発言に注目
今週の米国株は、底堅い動きとなりました。FOMCで0.25%の利下げが決まったことに加えて、年内に追加で0.5%の利下げを実施するとの見通しが示されたことが相場を押し上げました。半導体株は、エヌビディアがインテルへの出資を発表したことを受けて、インテルの株価が急上昇したことが寄与し、大きく上昇しました。
来週は、ミラン理事など複数の米連邦準備理事会(FRB)高官が、メディアや講演などで情報発信する予定となっており、各高官の発言が注目されます。高官の発言を受けて、市場の利下げ期待が変化すると、株価を動かす材料になるとみられます。足元の市場では、来年末までに政策金利が1%以上引き下げられることを織り込んでいますが、高官発言を受けて、利下げ期待が後退すると、株価を下押しする恐れがあります。
■来週の注目点
東京都区部・消費者物価指数(9月) 9月26日(金)発表
8月の東京都区部・消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比2.5%上昇と前月(同2.9%上昇)から伸びが縮小しました。政府による電気・ガス代の補助金の再開がエネルギー価格を押し下げたほか、食料品価格の加速が一服しました。
9月の東京都区部のコアCPIの伸びは拡大すると予想されます。比較対象となる前年同月に、電気・ガス代の補助金の再開がエネルギー価格を押し下げたことが大きく影響する見込みです。ただし、コメ価格の騰勢のピークアウトなどを背景に、日銀版コアCPI(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)は減速する見込みです。
米個人所得・個人消費支出(8月) 9月26日(金)発表
7月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.5%の増加となりました。関税による値上げを見越した駆け込み需要に加えて、オンラインでの販売促進キャンペーンを受けて、財品目を中心に個人消費は底堅く推移しました。
8月のPCEは前月比0.5%増程度、総合価格指数は前年比2.7%、コア価格指数は同2.9%程度の上昇が想定されます。米国の労働市場は減速しているものの、関税による値上げを見越した駆け込み需要や株式市場の回復による資産効果を受けて、個人消費は増加する見込みです。
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