来週の金融市場見通し(2025年9月8日~2025年9月12日)

2025/09/05

■来週の見通し

8月のADP全米雇用リポートで非農業部門の雇用者数が市場予想を下回るなど、米雇用情勢の減速感を映す経済指標の発表が相次いだことから、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が強まっています。他方、日銀の氷見野副総裁は金融経済懇談会で、米関税政策の日本への影響がこれから及んでくると述べるなど、利上げに慎重な姿勢を示しました。来週は、5日発表の米雇用統計を受けた米金融市場の動きに加え、米消費者物価指数(CPI)などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :国内政治動向を受けて神経質な動き

今週の日本株は、一進一退の動きでした。内外の長期金利が上昇したことが嫌気され、調整する場面がありましたが、週末はトランプ米大統領が日米の貿易協定に関する大統領令に署名したことが好感され、上昇しました。

来週は、国内政治動向を受けて神経質な動きになることが予想されます。8日に総裁選前倒しの是非の公表が予定されています。続投が決まった場合、いったん不透明感低下から株式市場は好感する可能性があります。総裁選の実施が決まった場合は、政治リスクの高まりから株式市場は嫌気する可能性がありますが、積極的な財政政策を訴える候補者が勝利し、国内経済を押し上げるとの期待から株価を押し上げる展開も想定されます。8日の株式市場は、5日の米雇用統計の発表を受けて値動きが激しい展開となることが予想されます。

◆長期金利 :居所を探る

今週の長期金利は、10年国債入札が好調だったことや日銀の氷見野副総裁が追加利上げに慎重との見方から、一旦低下したものの、財政悪化への警戒から一時1.640%と2008年7月下旬以来およそ17年ぶりの水準まで上昇しました。ただ、その後は米長期金利の低下を受けて、1.5%台後半まで低下する動きになりました。

来週は、米雇用統計を受けた米長期金利の動きや政局などを確認しながら居所を探ることになりそうです。財政規律を重んじるとみられる石破首相が退陣すれば、拡張的な財政政策を志向する政権が誕生するとの思わくは国内金利の押上げ材料です。もっとも、氷見野副総裁が利上げに慎重な姿勢を示したことから、国内金利の上昇は限定的となりそうです。米雇用統計が下振れした場合には、国内金利にも低下圧力がかかる可能性があります。

◆Jリート :下値目途を探る

今週のJリート市場は、東証REIT指数(配当なし)1,930ポイント付近で戻り売りが出たことから上値の重い展開となりました。その後、週末にかけては、金融機関の半期決算を控えた売りなども重なり、下げ幅を広げました。今週末の分配金利回りは4.698%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)となりました。

来週は、長期金利の動向や国内の政局をにらみつつ、下値の目途を探る展開を想定しています。引き続き金融機関の半期決算を控えた売りが見込まれるほか、国内政局に絡む財政拡張懸念から長期金利が上昇するとJリート市場の下押し圧力となりそうです。とはいえ、値下がりした局面では下値を拾う買いや4%台半ばの分配金利回りに着目した買いが見込まれることから、下値は限定的になると見込んでいます。

◆為替:ドル高・円安が進行

今週のドル円相場はドル高・円安が進行しました。利下げに慎重な発言が目立った氷見野日銀副総裁の講演や、自民党の森山幹事長の辞意表明を受けて、1ドル=148円台後半までドル高・円安が進行しました。その後は、週末に米雇用統計の公表を控えるなかで、レンジ圏での推移が続きました。

来週のドル円相場はドル高・円安の進行が続くと予想されます。雇用統計やPPI、CPIなど、米国の経済指標の内容次第では、FRBの金融政策を巡る思わくが変化する可能性があります。足元では、市場の米利下げ期待は行き過ぎている可能性があり、利下げ期待の剥落により、ドル高・円安に振れやすい展開が想定されます。また、自民党の総裁選の前倒しが決定した場合、国内の政治不安から円売り圧力が強まる可能性があります。

◆米国株 :経済指標に注目

今週の米国株は、底堅い動きとなりました。米国の財政悪化懸念から米長期金利が上昇したことが嫌気され調整する場面がありましたが、米労働市場の減速を示唆する経済指標発表を受け、米利下げ期待が高まったことが相場を支えました。また、サービス業の景況感が改善したことも好感されました。

来週は、物価動向に関する経済指標が注目されます。10日にPPI、11日にCPIの発表が予定されています。市場では、物価の伸びは限定的になることが見込まれていますが、インフレ率が市場予想よりも加速すると米利下げ期待が弱まり、投資家心理を圧迫する恐れがあります。他方、インフレの伸びが限定的になれば、9月の利下げの確度が高まり、市場は好感しそうです。

 

来週の注目点

法人企業景気予測調査(25/7-9月期)9月11日(木)発

4-6月期の法人企業景気予測調査では、大企業・全産業の景況判断指数(BSI、季節調整値)は、0.4%ポイントと好不調の基準となるゼロを上回りましたが、プラス幅が大きく縮小しました。好調なインバウンド需要などを受けて非製造業はプラスを維持した一方、米国から品目別関税が課された自動車や鉄鋼を中心に、製造業の景況感が悪化しました。

7-9月期のBSIは低下すると見込まれます。非製造業の景況感は底堅い推移が見込まれるものの、米国により幅広い品目の関税が引き上げられたことを受け、製造業全般の景況感が悪化すると予想されます。

米消費者物価指数(8月)9月11日(木)発表

7月の米国の消費者物価指数(CPI)は、総合指数が前年比+2.7%と前月から横ばい、変動の大きい食品・エネルギーを除くコア指数は同+3.1%の上昇と前月から加速しました。関税の影響を受けやすい財価格の伸びは緩やかだったものの、振れの大きい航空運賃の上振れなどにより、サービス価格の伸びが加速しました。

8月のCPIは、総合指数が前年比+2.9%、コア指数が同+3.1%程度の上昇が予想されています。関税によるインフレの影響が強まることで、財価格が加速すると見込まれます。

 

 

 

 

 

 

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