来週の金融市場見通し(2025年3月10日~2025年3月14日)

■来週の見通し


トランプ米政権は、4日にカナダ、メキシコからの輸入品に対する関税を引き上げました。同政権は、その後、一部の品目に対する関税引き上げを延期することを決めましたが、日々変化するトランプ政権の政策を受けて投資家心理が悪化しています。国内では、日銀の内田副総裁が利上げ継続に言及したことで、追加利上げがあらためて意識されました。来週は、7日の米雇用統計を受けた米金融市場の動きに加え、トランプ政権の動向、内外の経済指標などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :いったん落ち着いた動きに

今週の株価は、トランプ大統領の関税政策をめぐる動きや米経済指標発表を受けて、値動きが激しい展開となりました。10日の株式市場は、7日の米雇用統計などを受けて、荒い値動きとなる可能性がありますが、その後は材料出尽くしとなり、いったん落ち着いた動きになることが予想されます。トランプ大統領が経済への影響に配慮し、関税の規模縮小を発表すると、投資家心理が改善し、株価を押し上げる可能性もありそうです。

◆長期金利 :居所を探る

10年国債入札が弱い内容となり、需給の緩みが懸念される中、日銀の内田副総裁が「経済・物価の見通し実現なら引き続き金利を引き上げる」など利上げ継続に言及したことを受け、長期金利は大きく上昇する動きになりました。ただ、長期金利が節目の1.5%、30年債利回りが2.5%台半ばまで上昇してきており、押し目を拾う動きが広がると、金利上昇が一服することも想定されます。5年国債、20年国債入札も確認したいところです。

◆為替:下値余地模索

ドル円は、下値を模索する展開が続きそうです。緩やかながらも米インフレ圧力の低下がみられる中、米景気の減速感も高まっており、米長期金利は低下傾向にあります。また、関税政策に加え、ウクライナ政策などにかかわるトランプ大統領の言動に市場が振らされる状況が続いています。そのような環境下、市場はリスク回避の動きが優勢になりやすく、また、日銀の早期利上げ観測も根強いことから、ドル円は下値余地を模索する展開が続きそうです。

◆Jリート :押し目を探る

Jリート市場は、日米長期金利の動向を睨みながら、押し目を探る展開となることが想定されます。長期金利が約16年ぶりに1.5%に上昇する中、米政権の関税政策による米国経済の減速懸念も意識され、市場センチメントは弱含んでいます。しかし、景気減速懸念を背景に米長期金利が低下していることは支援材料であり、割安感に着目した買いなどによる下支えが入ることで、底堅く推移することが期待されます。

来週の注目点

毎月勤労統計調査(1月) 3月10日(月)発表

毎月勤労統計調査によると、12月の名目賃金(現金給与総額)は前年比+4.4%の増加と、前月(同+3.9%増)から伸びが拡大しました。また、実質賃金は+0.3%と、2か月連続の増加となりました。基本給にあたる所定内給与は高めの伸びが続いたほか、冬季賞与の増額が賃金を大きく押し上げました。

1月は、冬季賞与の影響がはく落するため、名目賃金の伸びが縮小する見込みです。また、生鮮食品やコメなどを中心にインフレ率の高止まりが続いているため、実質賃金は再び減少に転じるとみられます。

米消費者物価指数(2月) 3月12日(水)発表

1月の米国の消費者物価指数(CPI)は、コア指数(食品とエネルギーを除く総合)が、前年比+3.3%、前月比+0.4%と、ともに前月(同+3.2%、同+0.2%)から加速しました。鳥インフルエンザの影響で卵の価格が高騰したほか、サービス価格も高い伸びが続きました。

2月のコア指数は、前年比+3.2%、前月比+0.3%と、高い伸びが続くとみられます。2月時点では中国以外の国への関税引き上げは見送られていましたが、米地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、先んじて価格を引き上げる動きも報告されています。

 

 

 

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