来週の金融市場見通し(2025年3月3日~2025年3月7日)

■来週の見通し


トランプ米大統領が発動を延期していたカナダとメキシコへの25%の関税を3月4日から課すと明らかにするとともに、中国にも10%の追加関税を上乗せすると表明しました。カナダとメキシコへの関税は再延期の可能性も残ります。注目された米半導体大手エヌビディアは好決算でしたが、投資家心理は上向かず、トランプ政権の政策への不透明感から、投資家の不安心理を表すVIX指数は警戒水準の20を上回りました。来週は引き続きトランプ氏の動向や経済指標に加え、国内では春闘も確認したいところです。

◆株価 :関税政策に振らされる展開か

今週の株価は、トランプ大統領が3月4日から中国・メキシコ・カナダに対する関税引き上げを実施する意向を示したことが嫌気され、下落しました。来週の株価は、トランプ大統領の関税政策に振らされる展開が予想されます。実際に関税引き上げが実施されると、株価を下押しすることが想定されます。一方、土壇場で引き上げが見送られると株価の押し上げ材料となりそうです。米国の経済指標発表も株価を動かす材料となりそうです。

◆長期金利 :やや不安定な動き

長期金利は、2年国債入札が弱めの結果となり上昇する場面もありましたが、前週末に植田日銀総裁が金利上昇をけん制したことに加え、景気懸念から米長期金利が低下したこと、また株安を受けて安全資産である国債を買う動きが広がり、低下する動きになりました。来週は米長期金利の動きや10年国債、30年国債入札に加え、内田日銀副総裁の金融経済懇談会での発言、春闘なども確認しながら方向感を探ることになりそうです。

◆為替:下値余地模索

ドル円は、上値の重い地合いが続きそうです。米インフレの高止まりを背景に、複数の米連邦準備理事会(FRB)高官が金融政策維持の姿勢を示唆する一方、米国の消費関連指標は市場予想比で下振れています。それを受け、米長期金利は低下傾向にあり、ドル円は下値余地を模索する可能性が高そうです。また、早期の日銀の利上げの可能性も否定できないことや政策金利の最終到達点が切り上がるとの見方も根強く、ドル円の下押し材料となりそうです。

◆Jリート :戻りを探る

Jリート市場は、日米長期金利の動向を睨みながら、緩やかに上値を探る展開となることが想定されます。国内政策金利の最終到達点(ターミナルレート)が切り上がるとの思わくから長期金利の上昇基調は継続しているものの、景気鈍化懸念を背景に米長期金利が低下していることは安心材料です。引き続き割安感に着目した買いなどが下支え要因となり、底堅く推移することが見込まれます。

来週の注目点

法人企業統計調査(24/10-12月期) 3月4日(火)発表

法人企業統計調査によると、7-9月期の全規模・全産業(金融・保険業を除く)の経常利益は前期比-10.6%と、4四半期ぶりの減益となりました。また、設備投資(ソフトウェア含む)は同+1.7%と、2四半期連続で増加しました。

10-12月期については、価格転嫁の進展や経済活動の回復を背景に、経常利益は増益に転じたとみられます。また、高水準の企業収益に支えられ、設備投資も回復したとみられます。

米雇用統計(2月) 3月7日(金)発表

米雇用統計によると、1月の非農業部門雇用者数は前月差+14.3万人増と、前月(同+30.7万人増)から減速し、市場予想を下回りました。ロサンゼルス近郊の山火事や米国全土の寒波などが雇用を下押ししたとみられます。失業率は4.0%と前月(4.1%)から小幅に低下しました。平均時給は前月比+0.5%増、前年比+4.1%増と、高めの伸びが続きました。

2月の非農業部門雇用者数は前月差+15.5万人増、失業率は4.0%、平均時給は前月比+0.3%増程度を想定しています。足元ではソフトデータを中心とする経済指標の下振れを受け、景気後退懸念が強まるなかで、雇用環境の底堅さが示されるのかという点が注目されます。

 

 

 

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