来週の金融市場見通し(2025年1月13日~2025年1月17日)

■来週の見通し


9日に公表された12月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、金融緩和(利下げ)のペースを「鈍化するのが適切な地点またはそれに近い」との見方に加え、トランプ次期米政権の関税や移民政策などの影響を受けた、インフレの上振れリスクを警戒する姿勢が示されました。来週は、10日発表の米雇用統計を受けた米金融市場の動向に加え、12月の米消費者物価指数(CPI)、米連邦準備理事会(FRB)高官や日銀の氷見野副総裁の発言なども確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :不安定な動きが継続か

週の日本株は、20日に発足予定のトランプ政権の政策への警戒感や米金利上昇を受けて不安定な動きとなりました。来週も、引き続きトランプ政権の発足を控えて、不安定な動きが継続する可能性があります。小売売上高などの米経済指標も相場を動かす材料となりそうです。一時的に調整色が強まる恐れもありますが、下落局面では少額投資非課税制度(NISA)を活用した個人投資家の資金流入が増えるとみられ、下落幅は限定的となりそうです。

◆長期金利 :米金利にらみ

トランプ氏の政策の不透明感や米利下げペース鈍化観測から米金利が上昇、国内の長期金利も1.2%付近まで上昇する動きになりました。ただ、10年、30年国債入札は強めの結果で、需給不安は後退した格好です。来週は米雇用統計などを受けた米金利の動きに加え、5年、20年国債入札なども確認しながら居所を探ることになりそうです。日銀副総裁が早期利上げに慎重な姿勢を示すと、金利上昇が抑制されることも想定されます。

◆為替:上値余地模索

ドル円は、じりじりと上値余地を模索する展開が見込まれます。堅調な米景気やトランプ次期大統領の政策がインフレを喚起するとの見方を背景に、米利下げ期待が後退する中、米長期金利は4.7%程度の水準で推移しています。そのような環境下、日本通貨当局による口先介入への警戒感はくすぶるものの、ドル円は堅調な展開が続きそうです。また、1月の日銀政策決定会合での利上げ観測が後退していることもドル円の押上げ要因となりそうです。

◆Jリート :方向感を探る

Jリート市場は、日米長期金利の動向やトランプ氏の発言を注視しながら方向感を探る展開になることが想定されます。米長期金利の上昇を背景に年明けから国内長期金利は上昇しているものの、植田総裁が追加利上げに慎重な姿勢を示していることは安心材料です。ただし、大統領就任直前のトランプ氏の発言次第で、日米長期金利や株式市場に大きな影響を与える可能性があり、不安定かつ方向感を見出しにくい状況が見込まれます。

来週の注目点

企業物価指数(12月) 1月16日(木)発表

11月の企業物価指数は前年比+3.7%と、2023年7月以来の高い伸びとなりました。電気・ガスの補助金の縮小により電力・都市ガス・水道が加速したほか、コメ価格の高騰を受けて農林水産物も伸びが拡大しました。

12月の企業物価指数も高い伸びが続くとみられます。電気・ガス補助金の終了が物価を押し上げるほか、生鮮野菜の高騰などから農林水産物の高い伸びが続く見込みです。

 

米小売売上高(12月) 1月16日(木)発表

11月の米国の小売売上高は前月比0.7%の増加と、前月から伸びが拡大しました。自動車販売が増加したほか、ブラックフライデーなどの販売促進策を受けてオンライン消費が拡大しました。

12月は前月比0.5%の増加と、堅調な推移が見込まれています。物価高を背景に消費者の節約志向が高まっているものの、雇用環境が底堅いなかで、個人消費は増加基調を維持するとみられます。

 

 

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