来週の金融市場見通し(2024年12月30日~2025年1月10日)

■来週の見通し


前週末発表の11月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.4%と、市場予想(2.5%)ほど拡大しなかったものの、インフレ高止まりへの懸念は根強く、米利下げペースが鈍化するとの見方は後退しませんでした。他方、植田日銀総裁の講演での発言は、金融引締めに慎重なハト派姿勢を示した前週の金融政策決定会合から変わらず、早期の利上げ観測を高めるものではありませんでした。しばらくは、年末年始の米金融市場の動きや経済指標などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :激しい値動きか

年初の日本株は、米国の経済指標の発表を受けて、激しい値動きとなる可能性があります。2週目に、雇用関連の指標を中心に重要な米経済指標の発表が予定されています。米経済の堅調さを示唆する内容であれば、市場は好感しそうですが、軟化を示唆する内容になると、株価を下押しする恐れがあります。20日の大統領就任を前に、トランプ氏が関税の引き上げなど市場に影響を及ぼす発信をする可能性があり、同氏の動向にも警戒が必要です。

◆長期金利 :動き難い相場が継続か

来年度の国債の市中発行額の増額への警戒が広がり、長期金利は上昇する動きになりました。発表された国債発行額は2024年度の当初予算より増えましたが、事前の報道に沿った内容でした。ただ、売りがやや優勢になり、週末には1.1%をつけました。日銀の早期利上げ観測は後退していますが、まだ決め打ちはできない状況で、動き難い相場が続く可能性があります。10年国債、30年国債入札も確認したいところです。

◆為替:ドル高地合い継続

ドル円は、じりじりと上値を模索する展開が見込まれます。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が、来年の利下げについて慎重な姿勢を示したことや、日銀の早期利上げ観測が遠のいていることを背景に、当面、ドル円の堅調推移は続きそうです。また、円安が進む中でも植田日銀総裁が、トランプ次期政権の政策や来年の春闘に向けた動きを注視したいと発言しており、日銀の介入警戒感がやや和らいでいることもドル円の押上げ要因となりそうです。

◆Jリート :戻り余地を探る

年明けのJリート市場は、戻り余地を探る展開になることを想定しています。12月の日銀会合で植田総裁が追加利上げに慎重な姿勢を示したことで、1月会合での追加利上げ観測が後退したことから、足元、Jリートは反発しており、その流れが継続することが見込まれます。ただし、為替市場の急速な円安進行により、1月の追加利上げ観測が再び高まる可能性もあり、その場合は、Jリートの戻りを抑える要因となりそうです。

来週の注目点

毎月勤労統計調査(11月) 1月9日(木)発表

毎月勤労統計調査によると、10月の名目賃金(現金給与総額)は前年比+2.2%増と、前月(同+2.5%増)から伸びが縮小しました。基本給にあたる所定内給与は高めの伸びが続いていますが、インフレ率が下げ渋るなかで、実質賃金は同-0.4%と3か月連続の減少となりました。

11月についても、実質賃金はマイナス圏での推移が見込まれます。賃金上昇に向けたモメンタムは大きく変化しないとみられる一方、政府の電気・ガス代の補助縮小を受けたインフレ率の加速が実質賃金を下押しすると見込まれます。

 

米ISM製造業景況指数(12月) 1月4日(土)発表

11月の米国の供給管理協会(ISM)製造業景況指数は、48.4と前月差+1.9ポイント上昇しました。新規受注に関する指数が8か月ぶりに好不調の境目である50を上回るなど、製造業の景況感に持ち直しの兆しがみられています。

12月のISM製造業景況指数は、48.3程度と小幅低下が見込まれています。大統領選を通過したものの、トランプ新政権の関税政策を巡る不透明感などが、景況感の重しになるとみられます。

 

米雇用統計(12月) 1月10日(金)発表

11月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月差+22.7万人増と、市場予想をやや上回りました。ストライキやハリケーンによる悪影響が一巡し、雇用者数が増加しました。もっとも、失業率は4.2%と前月(4.1%)から小幅に上昇するなど、一時的な影響を除くと雇用は緩やかに減速しているとみられます。平均時給は前月比+0.4%増、前年比+4.0%増とともに前月から伸びが横ばいとなりました。

12月の非農業部門雇用者数は前月差+15.3万人増、失業率は4.2%、平均時給は前月比+0.3%増程度を想定しています。米経済が堅調を維持するなかで、雇用の減速ペースは緩やかになるとみられます。

 

 

 

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