来週の金融市場見通し(2024年11月25日~2024年11月29日)

■来週の見通し


米連邦準備理事会(FRB)高官から利下げを慎重に進める考えが相次いで示される中、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが見送られる確率が4割程度まで上昇しています。他方、植田日銀総裁は政策調整のタイミングについて「先行きの経済、物価、金融情勢次第だ」などと述べ、12月利上げの明確な地ならしはしませんでした。来週は東京都区部・消費者物価指数(CPI)やFOMC議事要旨などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。緊迫化するウクライナ情勢には注意が必要です。

◆株価 :軟調な動きが継続

今週の日本株は、国内の長期金利上昇やウクライナ情勢の緊迫化を受けてやや軟調な動きとなりました。日銀の追加利上げやトランプ氏が掲げる関税の引き上げへの警戒感が重しとなり、来週も軟調な動きになりそうです。ただ、米国で好調な経済指標が発表されると、米国株に連れて日本株も上昇する可能性があります。株価が下落する場面では、事業法人による自社株買いが増加することが予想されるため、株価の下落幅は限定的とみられます。

◆長期金利 :一進一退

長期金利は、日銀による12月の追加利上げの可能性が意識されたことや、石破政権の経済対策に伴う国債の増発懸念などから、1.1%に迫ったものの、利回り水準の高さに着目した買いが入り、上げ幅を縮小しました。12月のFOMCや日銀金融政策決定会合、また来年度の国債発行計画などを確認するまでは、金融政策や需給悪化への警戒が続きそうです。地政学リスクが一段と高まると、国内金利も下押しされる可能性があります。

◆為替:上値の重い動き

トランプ氏が大統領選で勝利したことを受けて、11月に入りドル円は上昇基調が続いています。ただ、FRBの利下げ観測が後退するなどトランプ氏の政策の影響を市場はある程度織り込んでおり、来週のドル円は上値の重い動きが予想されます。地政学リスクの低下を受けて資源価格が下落すると、また、米経済指標が市場予想を下回る内容になると、ドル安円高が進む場面もありそうです。政府・日銀による為替介入にも警戒が必要です。

◆Jリート :下値の目途を探る

来週のJリート市場は、日米の長期金利の動向を見つつ、下値の目途を探る展開が想定されます。「103万円の壁」引き上げに向けた自公・国の協議の進捗や日銀12月会合での追加利上げ観測のほか、トランプ次期政権の政策による米国の財政悪化やインフレ圧力の上昇懸念が日米長期金利の上昇圧力となっています。先週の安値である東証REIT指数(配当なし)1,650ポイント付近を割り込んでくるのか確認したいところです。

来週の注目点

東京都区部・消費者物価指数(11月) 11月29日(金)発表

10月の東京都区部・コア消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比1.8%上昇と前月(同2.0%上昇)から減速しました。食料品やサービス品目では価格の伸びが拡大しましたが、エネルギー価格の伸びが縮小しました。

11月のコアCPIは伸びが拡大すると見込まれます。エネルギー価格の伸びが拡大するほか、賃金コストの上昇を価格転嫁する動きが続くと見込まれます。

米個人所得・個人消費支出(10月) 11月28日(木)発表

9月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.5%増加しました。また、PCE総合価格指数は前年比2.1%と前月から上昇幅が縮小した一方、食料とエネルギーを除くPCEコア価格指数は同2.7%と前月から伸びは横ばいでした。

10月のPCEは前月比0.4%増程度、総合価格指数は前年比2.3%程度、コア価格指数は同2.8%程度の伸びが想定されます。底堅い雇用環境が下支えとなり、個人消費は増加が続くほか、インフレ圧力の根強さが示される可能性があります。

 

 

 

 

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