来週の金融市場見通し(2024年9月2日~2024年9月6日)

■来週の見通し

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は23日、9月の利下げを事実上予告したほか、労働市場の軟化への警戒感も示しました。来週の米雇用統計次第では、9月に通常の2倍の0.5%の利下げに踏み切る可能性があるとみられます。他方、氷見野日銀副総裁は金融・資本市場について「高い緊張感を持って注視する」と述べるとともに、利上げ路線を維持する姿勢も示しました。来週は、週末に米雇用統計の発表を控え、やや神経質な動きになる場面も想定されます。日銀やFRB高官の発言も確認したいところです。

◆株価 :上値の重い展開か

来週の株価は、6日に発表される米雇用統計への警戒感から、上値を追う動きは限定的となりそうです。また、8月上旬の株価の急落後、個人投資家の資金流入が鈍化していることも懸念材料です。ただ、事業法人の自社株買いによるとみられる資金流入が高水準で継続していることは株価を支えるとみられます。来週は、自民党総裁候補の記者会見が相次いで予定されており、発言を受けて株価が上下する場面も想定されます。

◆長期金利 :米金利、米雇用統計にらみ

長期金利は、パウエルFRB議長が9月の利下げを事実上予告したことを受け、一旦低下したものの、氷見野日銀副総裁が利上げを続ける姿勢を示したことや、米経済指標が上方修正され、FRBによる大幅利下げ観測が後退したことから、上昇する動きになりました。30日発表の米個人所得・個人消費支出を受けた米金利の動きを確認しつつ、米雇用統計を待つことになりそうです。10年国債、30年国債入札も確認したいところです。

◆為替:方向感乏しい

ドル円は、方向感の乏しい展開が見込まれます。ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の発言を受け、9月の米利下げ開始が確実視されている中、米長期金利の上昇余地は乏しそうです。それを受け、ドル円の上値余地も限定的とみられます。他方、日本の早期利上げ観測はやや後退していることから、ドル円の下落余地も限定的とみられます。ドル円は、来週末に発表される8月の米雇用統計をにらみながら、当面、神経質な展開が見込まれます。

◆Jリート :底堅い展開か

来週のJリート市場は、底堅く、上値を探る展開を想定しています。今後の金融政策の行方を示唆する日米中央銀行トップの発言を消化し、東証リート指数(配当なし)が1,750ポイントの上抜けに成功した流れが継続すると見込んでいます。8月上旬から急ピッチで上昇したこともあり、一旦調整する可能性もありますが、東証リート指数(配当なし)は1,750ポイントを下値の目途とし、底堅く推移すると予想します。

来週の注目点

毎月勤労統計調査(7月) 9月5日(木) 8時30分発表

6月の毎月勤労統計調査では、実質賃金(共通事業所ベース)が前年比+1.8%と27ヵ月ぶりに増加に転じました。所定内給与の高い伸びが維持されたほか、夏季賞与などが含まれる特別給与が上振れました。

7月は、実質賃金が再びマイナスに転じると見込まれます。春闘の結果は夏場にかけて適用が広がるため、一般労働者を中心に所定内賃金の伸びが高まると予想される一方、前月の賃金を大きく押し上げた夏季賞与による一時的な影響がはく落するとみられます。

 

米雇用統計(8月) 9月6日(金) 21時30分発表

7月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月差11万4,000人増と、市場予想を大きく下回りました。平均時給は前月比0.2%、前年比3.6%増加と、いずれも伸びが鈍化しました。また、失業率は4.3%と前月(4.1%)から上昇しました。米連邦準備理事会(FRB)による既往の金融引き締めを背景に雇用環境が軟調であることに加え、ハリケーン「ベリル」が一時的に悪影響を及ぼした可能性があります。

8月の非農業部門雇用者数は前月差16万5,000人増程度、平均時給は前月比0.3%増程度、失業率は4.2%程度を想定しています。天候要因による影響がはく落するとみられるほか、米企業の求人意欲は底堅いため、労働市場の減速ペースは緩やかになりそうです。

 

 

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