来週の金融市場見通し(2024年8月26日~2024年8月30日)
■来週の見通し
米労働省が公表した雇用統計の年次改定では、2024年3月までの1年間の雇用者数が大きく下方修正されました。従来の想定ほど雇用が伸びておらず、9月の米利下げを後押しするとの見方が広がりました。他方、植田日銀総裁は閉会中審査で、「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と発言していた内田副総裁との間に「違いはない」と説明しました。来週は23日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を受けた米金融市場の反応などを確認しながら方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :不安定な動きか
来週の株価は、不安定な動きが予想されます。今週末のパウエルFRB議長の発言を受けて、内外の金利が大きく変動すると、株式市場も乱高下する可能性があります。また、29日のエヌビディア決算発表後には、半導体関連株を中心に値動きが激しくなることが予想されます。一時的に調整する場面もありそうですが、下落局面では国内企業による自社株買いなどが増加することが予想されるため、下落幅は限定的となるとみられます。
◆長期金利 :米金利動向にらみ
長期金利は、パウエルFRB議長や日銀の植田総裁の発言機会を控える中、0.8%台後半を中心とした動きが続きました。総裁の発言は想定の範囲内で債券市場への影響は限定的でした。日銀の金融政策の正常化の方向は変わりませんが、追加利上げには慎重姿勢とみられ、一段の金利上昇は限定的となりそうです。パウエル議長が利下げに積極的な発言をした場合には、米金利とともに国内金利にも低下圧力が強まることも想定されます。
◆為替:変動性高い
ドル円は、方向感の見定めにくい展開が見込まれます。日米株価急落後、市場は落ち着きを取り戻してはいるものの変動性の高い状況は続きそうです。日銀の年内利上げ観測が残る一方、パウエルFRB議長がジャクソンホールの講演において9月の利下げを示唆するとみられることから、米長期金利の上昇余地は乏しく、ドル円の上値余地も限定的と見込まれます。とはいえ、議長の発言内容によってはドル円が乱高下する可能性があり、要注意です。
◆Jリート :方向性を探る
来週のJリート市場は、日米中央銀行トップの発言を受け、今後の方向性を見定める週となりそうです。植田総裁が経済・物価見通しが実現する確度が高まれば、金融緩和の調整を行う姿勢は変わらない考えを示した一方、パウエルFRB議長はジャクソンホール会議で9月の利下げを示唆する見込みです。週明け以降、東証リート指数(配当なし)が節目となる1,750ポイントの上抜けに成功するか、反落するか注目したいところです。
■来週の注目点
鉱工業生産指数(7月) 8月30日(金) 8時50分発表
6月の鉱工業生産指数は前月比-4.2%と、2ヵ月ぶりに低下しました。自動車メーカーの不正発覚が相次ぎ、一部車種の出荷が停止したことで自動車生産が下振れたほか、海外経済の減速を背景に幅広い業種が減産しました。
7月の生産指数は上昇に転じると見込まれます。主要企業の生産計画を調査した製造工業生産予測調査によると、7月は電子部品・デバイスや生産用機械を中心に増産が予定されています。ただし、自動車の出荷停止の影響が長引いているため、本格的な回復は見込みにくいでしょう。
米個人所得・個人消費支出(7月) 8月30日(金) 21時30分発表
6月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.3%と増加しました。また、PCE総合価格指数は前年比2.5%と前月から上昇幅が縮小し、食料とエネルギーを除くPCEコア価格指数は同2.6%と前月から伸びが横ばいになりました。
7月のPCEは前月比0.5%増程度、総合価格指数は前年比2.6%程度、コア価格指数は同2.7%程度の伸びが想定されます。米連邦準備理事会(FRB)による金融引締めが続いていますが、底堅い雇用環境が下支えとなり、個人消費は増加が続きそうです。
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