来週の金融市場見通し(2024年4月1日~2024年4月5日)
■来週の見通し
日銀が緩和的な金融環境を継続するとの見方から、ドル円は一時約34年ぶりの水準まで上昇しました。円安を受けて、財務省、金融庁、日銀が3者会談を開いたことから、為替介入への警戒が強まっています。日銀の金融政策決定会合の主な意見では、金融政策の正常化に慎重な姿勢が示されました。他方、米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事は利下げ開始を急ぐ必要はないとの見解を示しました。来週は、日銀短観、パウエルFRB議長の講演、米雇用統計などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :高水準の株価を継続か
来週は為替が円安水準で推移していることや米経済の軟着陸(ソフトランディング)観測の高まりが支えとなり、高水準の株価を維持することが見込まれます。1日に発表される日銀短観が国内企業の景況感改善を示す内容になると、一段と株価が上昇する展開も見込まれます。ただ、今月は株式市場だけでなく、商品やJリートなど多くの金融資産が上昇しており、市場は過度に楽観的になっている可能性があり、調整局面を迎えることも想定されます。
◆長期金利 :レンジ継続
利上げに積極的なタカ派とみられていた日銀の田村審議委員が、「当面、緩和的な金融環境が継続する」と述べたことを受けて、緩和的な金融政策の長期化が意識されたことや、40年国債入札が堅調な結果になったことから、長期金利は0.7%付近まで低下する動きになりました。低金利環境が続くと見込まれることから、レンジでの動きの中、米金利をにらみつつ、居所を探る動きが続きそうです。10年国債入札も確認したいところです。
◆為替 :上値模索
ドル円は、じりじりと上値余地を模索する展開が見込まれます。FRBは今年3回の利下げという従来予想を据え置く一方、日銀の植田総裁は政策変更実施後も金融緩和を維持するという方針を明確にしていることから、日米の実質金利差は依然強いドル買い要因となりそうです。ただ、ドル円は151円台前半で推移しており、日本政府高官から円安けん制発言が散見される中、日銀のドル売り介入への警戒感は根強く、当面ドル円の上値を抑えそうです。
◆Jリート :上値を探る
東証REIT指数は、週初は4営業日続伸して始まったものの、その後は利益確定売りが優勢になりました。ただ、1,800ポイント割れでは押し目買いも入り、底堅く推移しました。PBR(株価純資産倍率)に相当するNAV倍率は改善しているものの、まだ割安とされる1倍を割り込む水準です。日銀がマイナス金利を解除した後も長期金利が落ち着いた動きとなっていることは安心材料です。一進一退の中、上値を探る動きが続きそうです。
■来週の注目点
日銀短観(3月調査) 4月1日(月) 8時50分発表
昨年12月調査の日銀短観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス12、同・非製造業がプラス30と、9月調査に比べ、ともに3ポイントの改善となりました。製造業は原材料費上昇の一服が寄与し、非製造業については価格転嫁の進展が景況感を支えました。
3月調査の業況判断DIは、大企業・製造業は12月調査からやや悪化、同・非製造業12月調査からやや改善となりそうです。製造業では海外景気の減速が景況感の重しとなる見込みです。一方、非製造業では、引き続き訪日外国人の増加やレジャー需要の回復が景況感を支えそうです。
米雇用統計(3月) 4月5日(金) 21時30分発表
2月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比27万5,000人増となり、市場予想を上回りました。他方、平均時給は前月比0.1%増となり、賃金の伸びは前月より鈍化しました(前年比でも4.3%増と、前月より鈍化)。また、失業率も3.9%と前月から上昇しました。
これまでの米連邦準備理事会(FRB)の利上げなどの影響を受け、米労働市場にはやや減速感もみられます。3月の非農業部門雇用者数は前月比20万3,000人増程度、平均時給は同0.3%増程度、失業率は3.9%程度を想定しています。
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