来週の金融市場見通し(2024年3月25日~2024年3月29日)

2024/03/22

■来週の見通し

日銀は、異次元の金融緩和を終了し、金融政策の正常化に動きました。ただ、マイナス金利は解除されたものの、低金利は続くとの見方から市場には安心感が広がりました。他方、米連邦準備理事会(FRB)は5会合連続で政策金利を据え置きました。今年の政策金利見通しも据え置かれ、利下げ開始が後ずれするとの懸念が後退しました。来週は、東京都区部消費者物価指数(CPI)、米個人消費支出(PCE)価格指数などに加え、3月の日銀金融政策決定会合における主な意見なども確認したいところです。

◆株価 :高水準の株価継続

今週の日経平均株価は、日米の金融政策に関する会合を無事通過した安心感などから史上最高値を再び更新しました。FRBが今年の政策金利見通しを維持し、経済成長率の予想を引き上げたことも支えとなりました。来週は目立ったイベントはなく、引き続き高水準の株価の継続が見込まれます。ただ、市場は過度に楽観的になっている可能性があり、予想外のイベントの発生をきっかけに調整局面を迎える可能性もあり、警戒が必要です。

◆長期金利 :居所を探る

日銀は、マイナス金利政策などを含む異次元の金融緩和を終了し、短期金利を0~0.1%程度で推移するよう促す政策に戻しました。長期金利は政策修正への警戒から一時0.8%に迫りましたが、マイナス金利解除後も低金利がしばらく続くとの見方が広がり、低下する動きになりました。米長期金利の動きに加え、日銀の田村審議委員の講演や日銀の3月会合における主な意見なども確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替上値模索

ドル円は、じりじりと上値余地を模索する展開となりそうです。FRBは今年の利下げについて、0.25%を3回という従来の予想を据え置きました。また、日銀の政策変更実施後の早期追加利上げ観測は大きくは高まっていません。そのような環境下、日米の実質金利差は依然強いドル買い要因となりそうです。足元、日銀のドル売り介入への警戒感はドル円の上値を抑える可能性が高いものの、ドル円はじりじりと上値余地を模索する展開が続きそうです。

◆Jリート :値固め

東証REIT指数は、日銀の政策修正への警戒から売りに押される場面もあったものの、マイナス金利解除後も低金利が続くとの見方から買い安心感が広がり、1月30日以来の1,800ポイントを回復しました。長期金利が落ち着いた動きになる中、予想分配金利回りは4%台半ばと相対的に高い水準にあり、資産価格と比べた割安感も下支えしそうです。1,800ポイント台で値固めができると上値を探る動きも出てきそうです。

来週の注目点

東京都区部・消費者物価指数(3月) 3月29日(金) 8時30分発表

東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は2月に前年比2.5%上昇と、1月の同1.8%上昇から伸びが加速しました。生鮮食品を除く食料が同5.0%上昇したことなどがコアCPIを押し上げました。

3月のコアCPIも、前年比2%台の上昇率が見込まれます。生鮮食品を除く食料や教養娯楽の価格上昇などが物価を押し上げそうです。今後も当面、賃金の引上げに伴うサービス価格上昇の動きも踏まえれば、コアCPIの上昇率は2%程度の水準で推移すると予想されます。

米個人消費支出(2月) 3月29日(金) 21時30分発表

1月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.2%増と前月より伸びが鈍化しました。PCE総合価格指数は前年比2.4%上昇となり、また、食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数は同2.8%の上昇となりました。両指数とも前月より伸びが鈍化しました。

米連邦準備理事会(FRB)による大幅な利上げや貯蓄の減少が個人消費の重しになるとみられるものの、米労働市場は堅調な状況が続いており、今後もインフレ率の低下は極めて緩やかなものとなりそうです。2月のPCEは前月比0.5%増程度、総合価格指数は前年比2.5%程度、コア指数は同2.8%程度の伸びが想定されます。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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