来週の金融市場見通し(2024年3月18日~2024年3月22日)

■来週の見通し

2月の米消費者物価指数(CPI)や米生産者物価指数(PPI)の上昇率が市場予想を上回ったことから、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始が後ずれするとの見方が広がっています。他方、2024年の春闘で昨年を上回る賃上げ回答が相次ぐ中、日銀が来週の会合でマイナス金利解除などに動くとの観測が強まっています。米連邦公開市場委員会(FOMC)は現状維持の見込みですが、公表される政策金利見通しが注目されます。日米の金融政策を確認するまでは、やや神経質な動きになることも想定されます。

◆株価 :値動きが激しい展開が継続か

今週の日経平均株価は、日銀の金融政策修正に関する報道を受けて、日中の値動きが500円以上となる日が複数ある、値動きが激しい展開でした。来週の株式市場も、日米の金融政策に関する会合が予定されており、値動きが激しい展開が継続しそうです。日銀が、来週の会合で金融政策の修正を決めた場合、一時的に市場の変動が高まる懸念はありますが、緩和的な金融政策は維持される可能性が高く、中長期的には株価への影響は限定的とみられます。

◆長期金利 :金融政策にらみ

「日銀内でマイナス金利政策の3月解除を支持する意見が広がっている」、「18、19日の金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除する方向で調整に入った」と伝わり、4月ではなく来週の会合での政策修正の可能性が高まっています。日銀のマイナス金利解除などの金融政策の正常化をある程度織り込んでおり、また政策修正後も緩和的な金融政策が続くと見込まれますが、会合前後に上下に大きく動く可能性もあり注意が必要です。

◆為替底堅い

ドル円は、レンジ内ながら、底堅い展開となりそうです。2月の米消費者物価指数に加え、生産者物価指数も米インフレの高止まりを示唆したことから、米早期利下げ観測はやや後退しています。それを受け、ドル円は一時146円台まで下落したものの、再び148円台まで上昇しており、来週も底堅い動きが続きそうです。とはいえ、来週の日銀金融政策決定会合では、金融緩和政策の変更観測が高まっており、その結果次第では変動性が高まりそうです。

◆Jリート :神経質な動きか

東証REIT指数は、日銀がマイナス金利の解除に踏み切るとの観測から長期金利が上昇したことを嫌気し、一時1,650ポイント台まで下落したものの、買戻しが広がり週末には1,700ポイントを回復しました。早晩、日銀によるリートの買入れが停止される可能性はありますが、1年以上も買入れがない状態が続いており、影響は限定的とみられます。とはいえ、日銀が政策修正した場合には、やや荒い動きになることも想定されます。

来週の注目点

全国消費者物価指数(2月) 3月22日(金) 8時30分発表

全国の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は1月に前年比2.0%上昇と、昨年12月の同2.3%上昇から伸びが鈍化しました。政府のエネルギー価格抑制策を受け、電気代が同21.0%下落したことがコアCPIを押し下げました。

2月のコアCPIは、前年比2%台の上昇率が見込まれます。引き続き生鮮食品を除く食料の価格上昇などが物価を押し上げそうです。今後も当面、賃金の引き上げに伴うサービス価格上昇の動きも踏まえれば、コアCPIの上昇率は2%程度で推移すると予想されます。

ユーロ圏製造業PMI(3月)  3月21日(木) 18時00分発表

2月のユーロ圏製造業購買担当者景況指数(PMI)は46.5と前月の46.6からやや低下し、一昨年の7月以来、20か月連続で活動の拡大縮小の境目とされる50を下回りました。また、総合PMIも49.2と前月より上昇したものの、9か月連続で50を下回りました。

ユーロ圏では、ロシア・ウクライナ紛争や中東情勢、中国景気減速などの影響を受け、景気減速懸念が高まっており、インフレ率は低下基調で推移しています。それを受け、欧州中央銀行(ECB)は6月に利下げを実施する可能性が高そうですが、両指数は当面、低迷が続きそうです。

 

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