来週の金融市場見通し(2024年3月11日~2024年3月15日)

2024/03/08

■来週の見通し

2月の東京都区部消費者物価指数(CPI)の伸びが前月から拡大しましたが、影響は限定的でした。ただ、日銀が18、19日に開く金融政策決定会合で「一部出席者がマイナス金利政策の解除が妥当だと意見表明する見通し」と伝わり、早期の金融政策正常化が意識されました。他方、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言は、従来見解を踏襲し、サプライズはありませんでした。来週は、翌週に日銀会合や米連邦公開市場委員会(FOMC)を控える中、様子見姿勢が広がることも想定されます。

◆株価 :値動きが激しい展開か

今週の日経平均株価は、史上最高値を更新した後、円高を受けて3万9000円台半ばに下落しました。来週の株式市場は、今週末発表の米雇用統計や12日発表の米消費者物価指数(CPI)を受けて、値動きが激しい展開が予想されます。また、国内では連合が昨年を上回る賃上げ要求をしたことが明らかになったことから、日銀の早期金融政策正常化観測が高まっています。国内金利が上昇する場面も想定されますが、その場合株式市場は嫌気しそうです。

◆長期金利 :一段の上昇は限定的か

「政府が物価の上昇傾向を受け、デフレ脱却を表明する検討に入った」、また来週の日銀会合で「一部出席者がマイナス金利政策の解除が妥当だと意見表明する見通しである」と伝わり、マイナス金利政策を含む金融政策の正常化が早期に進むとの思わくが強まっています。もっとも、マイナス金利解除後も低金利が続くと見込まれる中、金利上昇の場面では生保などの買いが強まることも想定され、一段の金利上昇は限定的とみられます。

◆為替下値模索

ドル円は、じりじりと下値余地を模索する展開となりそうです。パウエルFRB議長が、年内いずれかの時点での利下げ開始が適切になると発言したことなどから、米長期金利が低下しており、ドル円も147円台まで下落しています。また、日銀の金融政策変更観測が高まっていることもあり、ドル円は来週もじりじりと下値模索の展開となりそうです。とはいえ、日米金利差は依然ドル円の強い下支え要因であり、ドル円急落の可能性は低そうです。

◆Jリート :引き続き戻りを探る

日銀の金融政策の正常化が意識され、Jリートの重しになっていますが、マイナス金利解除後も金融緩和が続くと見込まれる中、株式市場の過熱感が一服すると見直し買いが広がることも期待されます。2月の東京都心のオフィス空室率は若干上昇したものの、平均賃料が2か月ぶりに上昇したことは安心材料です。予想分配金利回りは4%台後半と魅力的な水準です。ただ、日銀会合を確認するまでは動きにくい相場が続く可能性があります。

来週の注目点

GDP統計(23/10-12月期、2次速報) 3月11日(月)8時50分発表

昨年10-12月期の実質国内総生産(GDP、1次速報)は、前期比年率0.4%減と、2四半期連続でマイナス成長になりました。物価上昇率が賃金の伸びを上回る状況が続いたことから個人消費が減少し、実質GDPを押し下げました。

実質GDP2次速報は、製造業を中心に設備投資が上方修正される見通しであることから、同1.1%増程度に改定されることが見込まれます。物価高が個人消費の重しとなり、当面穏やかなGDP成長が継続しそうです。

米消費者物価指数(2月) 3月12日(火)21時30分発表

1月の米消費者物価指数(CPI)は総合で前年比3.1%の上昇となり、前月から伸びが鈍化する一方、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIは同3.9%の上昇と、前月並みとなりました。

米連邦準備理事会(FRB)が進めてきた利上げなどの影響から、米インフレは基調としては低下傾向にあるものの、底堅い推移が続いています。堅調な労働市場を背景に、個人消費支出は依然活発であり、今後のインフレ低下も極めて緩やかなものとなりそうです。2月は総合で前年比3.1%程度、コアは同3.7%程度の伸びを想定しています。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

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