来週の金融市場見通し(2023年12月4日~2023年12月8日)
■来週の見通し
タカ派で知られる米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事が、インフレ率の低下が続けば今後数か月先に政策金利を引き下げる可能性を示唆する一方、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は政策金利は適切な水準にあり、利下げはまったく考えていないとの認識を示しました。1日に米大学の討議に参加するパウエルFRB議長から、タカ派寄りの発言があった場合には、市場の早期利下げへの期待が後退する可能性があります。週末に米雇用統計の発表を控え、徐々に様子見姿勢が広がることも想定されます。
◆株価 :軟調な動きか
日本株は、軟調な動きとなりそうです。日経平均株価は、先月約2,600円上昇しており、高値を警戒した売りが優勢となりそうです。また、米インフレは依然高水準であるにも関わらず、足元のインフレ鈍化を受けて市場のFRBへの利下げ期待は高まっていますが、米雇用に関する指標の発表などを受けて利下げ観測が後退すると、市場は嫌気しそうです。こうした中、政治資金の問題などをきっかけに国内政治が不安定化する可能性には注意が必要です。
◆長期金利 :米金利にらみ
FRBのウォラー理事の発言を受け、長期金利は一時0.635%まで低下しました。ただ、他のFRB高官から早期の利下げ期待を打ち消す発言が相次ぎ、上昇する動きになりました。日銀の審議委員から早期のマイナス金利の解除に慎重な発言が相次いでいることや日銀が国債購入を減額しなかったことは、金利上昇を抑制しそうです。とはいえ、パウエル議長からタカ派寄りの発言があった場合には、上昇圧力が強まる可能性があります。
◆為替 :上値重い
ドル円は上値の重い展開となりそうです。米インフレの鎮静化傾向や景気の減速を示唆する経済指標が散見される中、タカ派とされるFRB高官からのハト派発言などを受け、米利上げサイクルの終了観測が高まっています。米長期金利は4.3%程度まで低下しており、ドル円の上値は重く、じりじりと下値を模索する可能性があります。とはいえ、日米金利差は依然、ドル円の下支え要因であり、現状水準からのドル円急落の可能性は低いとみられます。
◆Jリート :一進一退
欧米の金利上昇のピークアウト観測や国内の長期金利の低下を受け、買いが広がる場面があったものの、長期金利が上昇に転じたことや、やや軟調な株式市場の動きを受けて投資家心理が悪化したことから、売りが優勢になりました。日銀が大規模な金融緩和策を維持する姿勢を示していることは安心材料です。引き続き、資産価格と比べた割安感などから底堅い動きが続きそうです。東京都心のオフィス空室率なども確認したいところです。
■来週の注目点
東京都区部・消費者物価指数(11月) 12月5日(火)午前8時30分発表
東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は10月に前年比2.7%上昇と、9月の同2.5%上昇から伸びが加速しました。生鮮食品を除く食料が、同7.3%上昇したことなどがコアCPIを押し上げました。
11月のコアCPIも、前年比2%台後半の上昇率が見込まれます。引き続き食料品の値上げなどがコアCPIの伸びに寄与する見通しです。今後も当面、賃金の引上げに伴うサービス価格上昇の動きも踏まえれば、コアCPIの上昇率は2%を上回る水準で推移すると予想されます。
米雇用統計(11月) 12月8日(金)午後10時30分発表
10月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比15万人増となりました。また、平均時給は前月比0.2%増と前月並みとなりました。失業率は3.9%と前月から上昇しました。同雇用者数は伸びが鈍化し、米労働市場の過熱感が後退しつつあることが示唆されました。
これまでの米連邦準備理事会(FRB)の利上げなどの影響を受け、米労働市場の過熱感は後退しており、また、賃金の伸びも縮小傾向です。11月の非農業部門雇用者数は前月比20万人増程度、平均時給は同0.3%増程度、失業率は3.9%程度を想定しています。
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