来週の金融市場見通し(2023年11月6日~2023年11月10日)
■来週の見通し
日銀はこれまで長期金利を1%以下に抑え込んできましたが、10月30、31日に開いた金融政策決定会合で、上限の目途を1%とし、長期金利が1%を一定程度上回ることを容認しました。他方、米連邦準備理事会(FRB)は2会合連続で、政策金利を据え置きました。この決定を受け、年内の追加利上げ観測がさらに後退しました。来週は内外の経済指標や企業決算発表に加え、パウエルFRB議長の発言や10月の日銀金融政策決定会合における主な意見なども確認しながら、方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :上値の重い展開か
日本株は、上値の重い展開が見込まれます。今週の日経平均株価は、米長期金利低下などを好感し、約1,000円上昇しており、来週は利益確定売りが優勢となりそうです。また、今週末の雇用統計などをきっかけに、FRBの追加利上げ観測が高まると、株価を圧迫しそうです。ただ、トヨタ自動車が通期業績予想を1兆円以上上方修正するなど、これまでの7-9月期の国内企業の決算発表は良好で、この傾向が継続すると株価を下支えしそうです。
◆長期金利 :居所を探る
長期金利は日銀の政策修正への思わくから0.9%半ばまで上昇しました。日銀は長期金利が1%を一定程度上回ることを容認しましたが、大幅な政策修正ではなかったことや、臨時に国債を買い入れたことから、その後はやや低下する動きになりました。米金利の上昇が一服していることや、日銀が急激な金利上昇を抑制する姿勢を示していることから、国内の長期金利の上昇も限定的となりそうです。30年国債入札も確認したいところです。
◆為替 :方向感欠く
ドル円は、底堅い地合いの中、方向感を欠く展開となりそうです。日銀は金融政策を修正したものの、金融緩和のスタンスに大きな変化はなかったことから、ドル円は一時、151円台後半まで上昇しました。他方、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果は、市場が想定するほどタカ派的ではなかったことから米長期金利は低下しています。日米金利差は依然、ドル円の下支え要因ですが、当面、ドル円は狭いレンジ内で方向感を欠く展開となりそうです。
◆Jリート :一進一退の中、上値を探る
週初は利益確定売りに加え、中東情勢悪化への警戒や長期金利上昇を嫌気した売りから値を下げたものの、その後は金利上昇が一服したことや、株高を受けて投資家心理が回復したことから下げ幅を縮小しました。日銀が国内金利の一段の上昇を抑制する姿勢を示していることは安心材料です。引き続き、資産価格と比べた割安感などから底堅い動きが続きそうです。日米の金利の動きが落ち着いてくれば上値を探る動きも出てきそうです。
■来週の注目点
景気ウォッチャー調査(10月) 11月9日(木)午後2時00分発表
景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、9月に前月差3.7ポイント低下の49.9と、8か月ぶりに50を下回りました。物価高の影響で消費者の節約志向が高まり、家計動向関連、企業動向関連ともに低下しました。
10月の現状判断指数は、横ばいとなりそうです。食品などの値上がりが生活必需品以外の消費を抑制し、家計動向関連を圧迫しそうでが、半導体や情報システム関連投資の増加が企業動向関連の景況感を支えそうです。
米ミシガン大学消費者マインド指数(11月) 11月10日(金)24時00分発表
10月の米ミシガン大学消費者マインド指数は、63.8となり、前月から4ポイントあまり低下しました。また、1年先の米インフレ期待は、前月の3.2%から4.2%に上昇し、5か月ぶりの高水準となりました。ガソリン価格の値上がりが消費者マインドを押し下げたとみられます。
堅調な米労働市場が続いており、底堅い所得が支出全体を支えているものの、ガソリン価格の値上がりなどが家計の購買力を圧迫しているとみられます。米景気の減速観測は後退しているものの、インフレ率の高止まる中、今後の消費者マインドの動向には要注意です。
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