来週の金融市場見通し(2023年9月18日~2023年9月22日)

■来週の見通し

日銀の植田総裁が、物価上昇に確信が持てた段階になれば、マイナス金利政策の解除を含めいろいろな選択肢があると述べたと伝わったことから、早期のマイナス金利解除への思わくが浮上しています。来週の金融政策決定会合は現状維持の見込みですが、植田総裁の発言が注目されます。他方、米連邦公開市場委員会(FOMC)についても利上げ見送りが見込まれますが、政策金利見通しなどで年内の追加利上げが示唆されるかに関心が集まります。国内の全国・消費者物価指数(CPI)も確認したいところです。

◆株価 :上値の重い展開か

日本株は、上値の重い展開が見込まれます。日経平均株価は3万3千円台の高値圏で推移しており、利益確定売りが優勢となりそうです。また、来週の金融政策決定会合で日銀が金融政策の正常化に積極的な姿勢を示すと株価を押し下げそうです。ただ、国内企業の業績改善期待が高まっていることは、株価を下支えしそうです。そうした中、FOMCにおける参加者の今後の政策金利見通しやパウエル議長の会見が注目されます。

◆長期金利 :日米の金融政策にらみ

植田日銀総裁の発言を受けて金融政策の早期の修正観測が高まり、一時0.720%と2014年1月以来の水準まで上昇しました。ただ、5年国債入札や米10年国債入札が無難な結果となったことなどから、金利上昇は一服しました。20年国債入札も堅調な結果となり、金利が上昇した場面での投資家の需要が確認された格好です。FOMCに加え、金融政策決定会合後の記者会見で、植田総裁が政策修正に前向きな姿勢を示すか注目されます。

◆為替底堅いものの方向感欠く

ドル円は、底堅い地合いの中、147円を中心に方向感を欠く展開となりそうです。足元、堅調な米景気を示唆する経済指標や原油価格の上昇を背景に、米長期金利は上昇圧力の強い地合いが続いており、ドル円は底堅い動きが想定されます。とはいえ、日銀のドル売り介入への警戒感は根強く、ドル円の上値も限定的とみられます。ただ、来週は、FOMCや日銀の金融政策決定会合が予定されており、その結果次第では波乱の可能性があります。

◆Jリート :戻りを探る

東証REIT指数は、植田日銀総裁の発言を受けて長期金利が上昇したことを嫌気し、売りに押される動きが続きました。もっとも、値ごろ感から押し目買いも入り、週後半は下げ幅を縮小しました。市場は来年以降の日銀によるマイナス金利解除やその後の利上げをやや前のめりで織り込んでいる可能性があり、FOMCや日銀金融政策決定会合を無難に通過し、長期金利の動きが落ち着いてくると、戻りを探る動きも出てきそうです。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(8月) 9月22日(金)午前8時30分発表

全国の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は7月に前年比3.1%上昇と、6月の同3.3%上昇から伸びが鈍化しました。政府のエネルギー価格抑制策を受け、電気代が同16.6%下落したことがコアCPIを押し下げました。一方、生鮮食品を除く食料は同9.2%上昇しました。

8月のコアCPIも、前年比3%程度の上昇率が見込まれます。引き続き食料品の値上げなどがコアCPIの伸びに寄与する見通しです。今後も当面、賃金の引き上げに伴うサービス価格上昇の動きも踏まえれば、コアCPIの上昇率は2%を上回る水準で推移すると予想されます。

ユーロ圏製造業PMI(9月)  9月22日(金)午後5時発表

8月のユーロ圏製造業購買担当者景況指数(PMI)は43.5と前月の42.7から上昇したものの、14か月連続で活動の拡大縮小の境目とされる50を下回りました。また、総合PMIも46.7と、前月から低下するとともに3か月連続で50を下回りました

ユーロ圏では、引き続きロシア・ウクライナ紛争の悪影響に加え、足元、中国景気減速の影響から、特に製造業を取り巻く環境は厳しいものとなっています。また、原油などエネルギー価格が上昇していることもあり、今後も両指数は徐々に低下することとなりそうです。

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