来週の金融市場見通し(2023年9月11日~2023年9月15日)

2023/09/08

■来週の見通し

前週末発表の8月の米雇用統計で失業率が上昇したことを受け、米連邦準備理事会(FRB)による追加利上げ観測が一旦後退しました。ただ、米ISM非製造業景況感指数などが米景気の底堅さを映す結果となったことに加え、サウジアラビアの原油の自主減産延長でインフレ圧力の高まりが意識され、FRBが長期にわたり高い政策金利を維持するとの観測が強まりました。来週は8月の米消費者物価指数(CPI)がインフレ鈍化を示すか、また欧州中央銀行(ECB)が追加利上げに踏み切るか注目されます。

◆株価 :上値の重い展開か

日本株は、上値の重い展開が見込まれます。来週発表予定の中国の経済指標が悪化すると、中国経済の減速懸念が高まり、株価を押し下げそうです。また、米経済指標の発表をきっかけに、FRBの追加利上げ観測が高まると株価の重しとなりそうです。ただ、日本経済が回復基調にあることは、株価を下支えしそうです。そうした中、来週に予定されている岸田政権の内閣改造・自民党役員人事が注目されます。

◆長期金利 :一進一退 

米景況感指標の上振れや原油高を背景に米長期金利が上昇したことを受け、国内の長期金利も上昇する動きになりました。10年国債、30年国債入札が低調な結果となったことも、長期金利を押し上げましたが、押し目買いも入り、上昇幅は限定的でした。米CPIでインフレ鈍化が示されると、米金利とともに国内金利も低下する可能性があります。他方、ECBが追加利上げに踏み切ると金利低下が抑制されることも想定されます。

◆為替底堅い中、指標に注目

ドル円は、底堅い展開となりそうです。足元、堅調な米景気を示唆する経済指標を受け、米長期金利はじりじりと上昇しています。それを受け、ドル円も底堅い動きが想定されます。とはいえ、来週は、FRBの今後の金融政策を左右するとみられる8月の米CPIなどのインフレ指標や、同米小売売上高などの発表が予定されています。これらの指標の結果次第では、変動性が高まり、ドル円は上下どちらにも振れる可能性があります。

◆Jリート :上値を探る

東証REIT指数は、オフィス市況の改善期待や株高から投資家心理が上向き、5日には年初来高値を更新しました。ただ、その後は米長期金利上昇を嫌気した売りなどに押されました。東京都心のオフィス空室率が、2か月連続で低下したことは安心材料です。東証REIT指数が1,900ポイント台で値固めができると、さらなる上値を探る動きも出てきそうです。とはいえ、米金融引締めが長期化するとの警戒が強まることには注意が必要です。

来週の注目点

機械受注(7月) 9月14日(木)午前8時50分発表

機械受注統計によると、設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需」の受注額は、6月に前月比2.7%増の8,540億円となりました。このうち、製造業は同1.6%増、非製造業(除船舶・電力)は同9.8%増となりました。また、4-6月期は前期比3.2%減となりました。

7月の機械受注は、前月比で減少が見込まれます。電子・通信機械や工作機械等の受注が減少しそうです。国内企業の省力化投資等は底堅い動きとなりそうですが、中国経済をめぐる不透明感や原材料高を踏まえれば、機械受注は当面、緩慢な回復にとどまりそうです。

米消費者物価指数(8月) 9月13日(水)午後9時30分発表

7月の米消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比3.2%の上昇となり前月から上昇したものの、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIは前年比4.7%の上昇となり、前月から伸びが鈍化しました。

米連邦準備理事会(FRB)が進めてきたこれまでの利上げなどの影響を受け、インフレは徐々に鈍化しつつあります。とはいえ、引き続き米労働市場や賃金動向は堅調な推移が続いており、インフレの低下は緩やかなものになりそうです。8月は総合で前年比3.6%程度、コアは同4.3%程度の伸びを想定しています。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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しんきん投信「来週の金融市場見通し」   しんきんアセットマネジメント投信株式会社
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