来週の金融市場見通し(2023年9月4日~2023年9月8日)

■来週の見通し

7月の米雇用動態調査(JOLTS)で求人件数が、また8月のADP全米雇用報告で雇用者数の増加幅が市場予想を下回ったことから、米国の労働需給が緩和するとの見方が広がりました。中国の8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が市場予想を上回り、中国の景気の先行き懸念が和らいだことも手伝い、投資家心理が上向きました。1日発表の米雇用統計で雇用者数や賃金の伸びが鈍化し、米金融引締めへの警戒感が一段と後退するかが注目されます。米ISM非製造業景況指数なども確認したいところです。

◆株価 :上値の重い展開か

日本株は、上値の重い展開が見込まれます。日経平均株価は、今週約1,000円上昇しており、来週は利益確定売りが優勢となりそうです。また、中国経済の減速懸念が株価の重しとなりそうです。ただ、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ長期化観測が後退していることは、株価の追い風となりそうです。また、日本企業の資本効率改善や株主還元強化への期待も、株価を支えそうです。そうした中、1日に発表される米雇用統計が注目されます。

◆長期金利 :米金利にらみ

長期金利は、日銀の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用見直しを受けて金利先高観はくすぶるものの、米国の雇用関連の指標が米労働市場の過熱感の和らぎを示し、FRBによる追加利上げ観測がやや後退したことから、一進一退の中、米金利とともにやや低下する動きになりました。来週は米雇用統計を受けた米国債市場の動きに振らされそうです。10年国債入札で投資家の需要も確認したいところです。

◆為替方向感模索

ドル円は、レンジ内で方向感を模索する展開となりそうです。足元、4-6月期の米GDP改定値など複数の経済指標が市場予想比で下振れたことなどから、米長期金利が低下しています。それを受け、ドル円も145円台に下落しており、上値の重い状況です。とはいえ、米国の底堅い景気動向や日米金利差はドル円を下支えするとみられ、下値余地も乏しそうです。1日発表の7月の米雇用統計の結果次第では変動性が高まる可能性があります。

◆Jリート :上値を試すか

原発処理水の海洋放出による訪日客減少への懸念はホテル系リートの重しも、米長期金利の上昇が一服したことに加え、国内のオフィス市況の底入れへの期待などから、東証REIT指数は29日には1,900ポイントを回復し、年初来高値を更新しました。その後はやや利益確定売りに押されましたが、米雇用統計で米経済の軟着陸(ソフトランディング)への期待が強まると、投資家心理が上向き、上値を試す動きも出てきそうです。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(8月) 9月8日(金)午後2時発表

景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、7月に前月差0.8ポイント上昇の54.4と、6か月連続で50を上回りました。人流回復による経済活動の活発化などにより、家計動向関連、企業動向関連ともに上昇しました。

8月の現状判断指数は、小幅な上昇が見込まれます。祭りなど夏の行事の再開や訪日外国人観光客の増加が、家計動向関連の追い風となりそうです。一方で、原材料費等の上昇を十分に価格転嫁できないことが、企業動向関連の景況感の重しとなりそうです。

ISM非製造業景況指数(8月) 9月6日(水)午後11時発表

米供給管理協会(ISM)が発表した7月の非製造業景況指数は、52.7と前月の53.9から低下しました。米国のサービス分野の活動は拡大を継続したものの、そのペースは鈍化しました。同指数は50が活動の拡大縮小の境目とされています。

米連邦準備理事会(FRB)によるこれまでの大幅な金融引締めや物価上昇などを受けて、サービス需要は徐々に軟化しており、今後の個人消費の動向には不透明感が高まりつつあります。8月の同指数は52.4程度を想定しています。

 

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