来週の金融市場見通し(2023年8月21日~2023年8月25日)

■来週の見通し

7月の米生産者物価指数(PPI)が予想より上振れしたことや、7月の米小売売上高が予想を上回る伸びとなったことなどから、米金融引締めが長期化するとの警戒が強まっています。他方、中国では経済指標が軒並み予想を下回り、同国経済の先行き不透明感が広がっています。来週は、米カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム(ジャクソンホール会議)でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言に注目が集まります。内外の経済指標に加え、中国人民銀行の政策金利発表も確認したいところです。

◆株価 :戻りを探る展開

日本株は、戻りを探る展開が見込まれます。今週の株価は、米金利の上昇等から軟調な動きとなりましたが、米金利の上昇が一服すれば、買い戻しの動きが優勢となりそうです。また、国内景気の拡大などを期待した海外投資家の日本株への投資意欲は根強く、株価を下支えしそうです。ただ、中国経済の減速懸念や中国の大手不動産会社の債務問題が株価の重しとなりそうです。そうした中、国内の物価や雇用関連指標が注目されます。

◆長期金利 :ジャクソンホールにらみ

国内の長期金利は、FRBが長期にわたり政策金利を高水準で維持するとの見方から、米長期金利が上昇したことに加え、20年国債入札が不調に終わったことを受け、一時0.655%まで上昇しました。もっとも、金利がさらに上昇した場合には、債券を買う動き(価格上昇、利回り低下)が強まるとみられ、一段の長期金利の上昇は限定的とみられます。パウエルFRB議長の発言を確認しようと、徐々に様子見姿勢が広がることも想定されます。

◆為替一進一退

ドル円は、一進一退の展開となりそうです。原油価格の底堅い動きが続く中、米景気の堅調さを示唆する経済指標が散見されており、米長期金利は上昇しています。それを受け、ドル円は底堅い動きが継続しそうです。とはいえ、足元、中国当局による対米ドルでの元安けん制への警戒を背景に、ドル元上昇が調整している影響などから、ドル円の上値も重くなっています。また、日銀の介入警戒感もくすぶっており、ドル円の上値も重そうです。

◆Jリート :底堅い動きが継続

東証REIT指数は、週初は上昇して始まったものの、以降は利益確定売りに加え、株安を受けて投資家心理が悪化したことや、長期金利上昇を嫌気した売りなどから、やや軟調な動きになりました。ただ、1,850ポイント割れの水準では押し目買いも入り、底堅く推移しました。一段の金利上昇は限定的とみられる中、引き続き割安感などから底堅い動きが続きそうです。内外の金融政策をめぐる思わくに振らされることには注意が必要です。

来週の注目点

東京都区部・消費者物価指数(8月) 8月25日(金)午前8時半発表

東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は7月に前年比3.0%上昇と、6月の同3.2%上昇から伸びが鈍化しました。政府のエネルギー価格抑制策を受け、電気代が同16.7%下落したことがコアCPIを押し下げました。

8月のコアCPIも、前年比3%程度の上昇率が見込まれます。引き続き食料品の値上げなどがコアCPIの伸びに寄与する見通しです。今後も当面、賃金の引上げに伴うサービス価格上昇の動きも踏まえれば、コアCPIの上昇率は2%を上回る水準で推移すると予想されます。

ユーロ圏製造業PMI(8月)  8月23日(水)午後5時発表

7月のユーロ圏製造業購買担当者景況指数(PMI)は42.7と前月の43.4から低下し、13か月連続で活動の拡大縮小の境目とされる50を下回りました。同指数は今年に入り、連続して前月値を下回っています。また、総合PMIも48.6と2か月連続で50を下回りました。

ユーロ圏では、引き続きロシア・ウクライナ紛争の悪影響に加え、中国景気減速の影響から、特に製造業を取り巻く環境は厳しい状況です。また、9月にも欧州中央銀行(ECB)は利上げを実施する可能性があり、両指数は徐々に低下することとなりそうです。

 

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