来週の金融市場見通し(2023年6月26日~2023年6月30日)

■来週の見通し

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は議会証言で、物価上昇率は目標から程遠いと発言するとともに、追加利上げは適切との見方を示しました。ただ、6月の会合で公表された政策金利見通しは年内あと2回の利上げですが、7月の会合で利上げし、その後は政策金利の水準を維持するとの市場の織り込みは、大きくは変わりませんでした。来週は内外の経済指標に加え、植田日銀総裁やパウエルFRB議長らが参加する欧州中央銀行(ECB)フォーラムなども確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :上値の重い展開か

日本株は、上値の重い展開が予想されます。日経平均株価は3万3千円を割り込んでいるものの高値警戒感は残っており、利益確定売りが株価の重しとなりそうです。また米欧の追加利上げ観測も、内外の株価を圧迫する見通しです。ただ、海外勢による日本株への投資意欲は根強いとみられるほか、ドル高・円安の動きが日経平均株価を下支えしそうです。そうした中、主要国における経済指標や、中央銀行高官の発言などが注目されます。

◆長期金利 :一段の低下は限定的か

前週末に日銀が現行の金融政策を維持すると決め、大規模緩和が長期化するとの見方が広がる中、5年国債入札も無難な結果だったことから、長期金利は0.365%と約1か月ぶりの水準に低下しました。パウエルFRB議長が利上げ継続を示唆しましたが、影響は限定的でした。とはいえ、各国の中銀が金融引締めに動く中、日銀の政策修正観測も根強く、一段の金利低下は限定的になりそうです。20年国債入札も確認したいところです。

◆為替上値模索

ドル円は上値を模索する展開が続きそうです。世界的に利上げ機運が再び高まっており、日本と海外主要中銀との金融政策の方向性の違いに注目が集まっています。日銀は金融緩和政策を維持する一方、米国では先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、一旦利上げは見送られたものの、年内あと複数回の利上げの可能性が示唆されました。そのような環境下、ドル円の下落余地は乏しく、徐々に上値を模索する展開となりそうです。

◆Jリート :底堅い動きが継続

東証REIT指数は、一進一退の動きの中、やや売りが優勢になりました。長期金利の低下に加え、訪日外国人客数が5月はコロナ前の2019年5月の69%まで回復するなど順調に持ち直す中、経済活動再開への期待やインバウンド需要の増加は、Jリート市場を下支えしそうです。やや方向感に欠ける動きが続いていますが、利回り面からの投資妙味や資産価格と比べた割安感からの買いなどから、引き続き底堅い動きが続きそうです。

来週の注目点

鉱工業生産指数(5月、速報値) 6月30日(金) 午前8時50分発表

鉱工業生産指数は4月に前月比0.7%上昇し、105.5(2020年=100)となりました。業種別では、汎用・業務用機械工業、自動車工業などが前月比で上昇した一方、生産用機械工業などが低下しました。

5月の鉱工業生産指数は、前月比で小幅な低下が見込まれます。生産用機械工業はやや持ち直すと見込まれる一方、自動車の生産増が一旦、伸び悩むとみられます。今後については、米欧や中国の景気停滞などを背景に、鉱工業生産は当面、緩慢な回復傾向にとどまりそうです。

米個人消費支出(5月) 6月30日(金) 午後9時30分発表

4月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.8%増となり、前月に比し大幅な伸びとなりました。また、PCE総合価格指数は前年比4.4%上昇となり、食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数は同4.7%上昇となりました。両指数とも前月の伸びを上回りました。

米国の個人消費は、依然堅調な労働市場と賃金を背景に底堅い状況です。ただ、これまでの米連邦準備理事会(FRB)による大幅利上げを受け、今後の個人消費の動向は要注意です。5月のPCEは前月比0.2%増程度、総合価格指数は前年比3.8%程度、コア指数は同4.7%程度の伸びが想定されます。

 

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