来週の金融市場見通し(2023年6月19日~2023年6月23日)

■来週の見通し

米連邦準備理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置き、昨年3月から続いていた利上げが止まりました。また、年内あと2回の利上げが示唆されました。ただ、市場は7月の会合で利上げ、その後は政策金利を据え置くとの織り込みで、FOMC参加者の見通しと乖離があります。他方、欧州中央銀行(ECB)は政策金利を引き上げました。来週はやや手掛かりに欠ける中、全国・消費者物価指数やパウエルFRB議長の議会証言などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :利益確定売り優勢か

日本株は、利益確定売りがやや優勢になると予想されます。足元、日経平均株価は3万3千円台と、1990年3月以来の高値で推移しています。そうした中、米欧の金融政策をめぐる不透明感は根強く、内外株価の上値を積極的に追う展開にはなりにくいとみられます。とはいえ当面、日銀は金融緩和策を維持すると見込まれる上、国内景気は底堅さを示すと予想されるため、株価の下落場面では、買戻しの動きが日本株を下支えする見通しです。

◆長期金利 :レンジ継続

長期金利は一進一退の動きが続いていましたが、日銀が大規模な金融緩和を維持したことから、週末は低下する動きになりました。6月のFOMCでは利上げが見送られましたが、年内2回の利上げ継続が示唆されました。市場はまだ1回利上げの織り込みですが、今後2回の利上げの織り込みが進むと、米金利とともに国内金利にも上昇圧力がかかる可能性があります。とはいえ、日銀の金融緩和の下、国内金利の上昇は限定的となりそうです。

◆為替方向感を欠く

ドル円は方向感を欠く展開となりそうです。6月のFOMCでは利上げが見送られた一方、年内あと2回の利上げの可能性が示唆されるなど、タカ派的な結果となりました。とはいえ、利上げの影響による米景気減速懸念もあり、米利上げ期待は高まっていません。ドル円の上値は限られる一方、日銀の政策決定会合においては、金融緩和維持が決定されたことから下値も限られそうです。ドル円は、レンジ内で方向感を欠く展開となりそうです。

◆Jリート :値固めしながら、上値を探る

東証REIT指数は、売りに押される場面でも1,850ポイントを割り込まず、1,800ポイント台後半での、もみ合いが続きました。日銀が大規模な金融緩和を堅持する中、経済活動再開への期待やインバウンド需要の増加などを背景に、底堅い動きが見込まれます。引き続き、相対的に高い分配金利回りに着目した買いや、割安感からの買いも下支え材料です。1,800ポイント台後半で値固めをしながら、上値を探っていくことになりそうです。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(5月) 6月23日(金)午前8時30分発表

全国の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は4月に前年比3.4%上昇と、3月の同3.1%上昇から伸びが拡大しました。特に生鮮食品を除く食料が同9.0%上昇し、コアCPIを押し上げました。一方、政府のエネルギー価格抑制策を受け、電気代は同9.3%下落しました。

5月のコアCPIも、前年比3%台前半の上昇率が見込まれます。引き続き食料品の値上げなどがコアCPIの伸びに寄与する見通しです。今後も当面、賃金の引上げに伴うサービス価格上昇の動きも踏まえれば、コアCPIの上昇率は2%を上回る水準で推移すると予想されます。

ユーロ圏製造業PMI(6月)  6月23日(金)午後5時発表

5月のユーロ圏製造業購買担当者景況指数(PMI)は44.8と前月の45.8から低下し、11か月連続で活動の拡大縮小の境目とされる50を下回りました。他方、総合PMIは52.8と前月の54.1から低下したものの、今年に入り、5か月連続で50を上回りました。

ユーロ圏では、引き続きロシア・ウクライナ紛争の悪影響に加え、中国景気の回復が遅れていることから、製造業を取り巻く環境は厳しい状況です。サービス業が経済活動全体を下支えしているとみられるものの、今後も欧州中央銀行(ECB)による利上げ継続が見込まれており、両指数は徐々に低下する可能性が高そうです。

 

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