来週の金融市場見通し(2023年5月22日~2023年5月26日)
■来週の見通し
バイデン米大統領が米国の債務上限引き上げ交渉について、デフォルト(債務不履行)を回避できると確信していると述べたことや、マッカーシー米下院議長が早ければ来週にも下院で採決される可能性があると述べたことから、債務上限問題への警戒が後退しています。他方、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ見送りは今後のデータ次第との見方が意識され、市場が織り込む利上げ確率は30%台半ばまで上昇してきています。内外の経済指標やFOMC議事要旨(5月)なども確認したいところです。
◆株価 :底堅い動き
日本株は、底堅い動きが予想されます。国内主要企業の好業績などが注目される中、特に海外投資家の旺盛な投資意欲が日本株を支える見込みです。ドル高・円安の進行や、米国の債務上限引上げ問題に関し与野党が近々合意に至るとの期待が強いことも、株価の追い風となりそうです。ただ、日経平均株価は17日に約1年8か月ぶりに終値で3万円台に乗せ、その後も大幅に上昇したことから、利益確定売りが一段の株高を抑制しそうです。
◆長期金利 :引き続き居所を探る
長期金利は0.40%を挟んだもみ合いが続いています。6月のFOMCでの市場が織り込む利上げ確率がじりじりと上昇する中、米債務上限問題が解決すると、安全資産である米国債が売られ、米長期金利に上昇圧力がかかる可能性があります。米金利上昇を受け、国内金利も限定的とはいえ上昇することも想定されます。日銀が大規模な金融緩和を維持する中、米長期金利の動向などをにらみながら居所を探る展開が続きそうです。
◆為替 :レンジ内ながら底堅い
ドル円は、レンジ内ながら、底堅い展開が見込まれます。基本的には、米インフレが鈍化傾向にある中、ドル円の現状水準からの上昇余地は限定的とみられます。しかし、足元、米経済指標が堅調な米経済を示唆していることを受け、米長期金利が上昇しています。また、米債務上限問題の解決に向け楽観論が高まっており、市場心理が改善しています。そのような環境下、ドル円の押し上げ圧力も強く、レンジ内ながら、底堅い展開が見込まれます。
◆Jリート :底堅い動きの中、上値を探る
東証REIT指数は、週前半は年初来高値を連日で更新しましたが、その後は底堅いものの、やや利益確定売りに押されました。年初来高値水準で推移していることから、引き続き利益確定売りに押される場面もありそうですが、日銀が金融緩和を維持し、長期金利の上昇が抑えられている中、利回りに着目した買いや、割安感からの買いが下支えしそうです。経済再開への期待なども手伝い、底堅い動きの中、上値を探る動きが続きそうです。
■来週の注目点
機械受注(3月) 5月22日(月) 午前8時50分発表
機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額は2月に前月比4.5%減の8,880億円となりました。製造業が同10.2%増となった一方、非製造業については1月に同19.5%増となった後、2月はその反動もあり同14.7%減となりました。
3月の機械受注は、前月比で小幅な増加が見込まれます。国内景気の回復期待や好業績を背景に、主要企業の設備投資意欲は底堅いとみられます。ただ、原材料コスト高や海外景気の減速などのため投資に慎重な企業も多く、機械受注は当面、緩やかな伸びにとどまる見通しです。
米個人消費支出(4月) 5月26日(金) 午後9時30分発表
3月の米個人消費支出(PCE)は、前月比横ばいとなりました。また、PCE総合価格指数は前年比4.2%上昇となり、食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数は同4.6%上昇となりました。両指数とも前月の伸びを下回りました。
米国の個人消費は、引き続き堅調な労働市場と賃金上昇に支えられています。ただ、その勢いには陰りが見え始めており、今後の個人消費の動向は要注意です。4月のPCEは前月比0.4%増程度が見込まれる一方、総合価格指数は前年比4.1%程度、コア指数は同4.5%程度の伸びが想定され、緩やかながら鈍化傾向が続きそうです。
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