来週の金融市場見通し(2023年5月1日~2023年5月12日)
■来週の見通し
来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利上げが決定され、その後は利上げが停止されるとの観測が強まっています。利上げ後の政策金利について何らかの示唆があるか注目されます。他方、植田新総裁下での初めての日銀金融政策決定会合では、大規模な金融緩和策が維持されました。とはいえ、日銀がいずれ政策修正するとの観測は根強く、引き続き金融政策をめぐる思わくに振らされそうです。FOMCや米雇用統計などに加え、本格化している国内企業の決算発表も確認したいところです。
◆株価 :底堅い動き
日本株は、底堅い動きが予想されます。米主要企業の業績に対する過度な悲観の後退や、国内企業の好決算期待が株価を支える見通しです。日銀の政策修正をめぐる目先の不透明感がひとまず和らいだことも、日本株の追い風となりそうです。ただ、日経平均株価は年初来高値を更新しており、利益確定売りが上値を抑えると見込まれます。そうした中、FOMCや海外で多数発表される経済指標を受けて株価が変動する可能性もありそうです。
◆長期金利 :居所を探る
日銀金融政策決定会合を控えて様子見姿勢が広がる中、長期金利は一進一退の動きが続きました。日銀金融政策決定会合の結果発表前には米長期金利が上昇したことを受けて、国内の長期金利は0.48%まで上昇しましたが、大規模な金融緩和策が維持されたことから、低下する動きになりました。とはいえ、日銀による政策修正観測は根強く、日銀の金融政策をめぐる思わくや米長期金利をにらみながら、居所を探ることになりそうです。
◆為替 :上値限定
ドル円は、現状水準からの上値は重く、徐々に下値を模索する展開が見込まれます。米国のインフレは鈍化傾向にあるとはみられるものの高止まりしており、来週のFOMCでは0.25%の利上げが実施される見込みです。とはいえ、同観測は市場にほぼ織り込み済みとみられ、135円を大きく超える上昇は見込みにくい状況です。また、日銀の政策修正期待は6月に向け、再び高まる可能性もあり、今後もドル円の上値を抑える要因となりそうです。
◆Jリート :上値を探る
Jリートは堅調な地合いが続き、東証REIT指数は年初来高値に迫りました。利益確定売りに押される場面もありそうですが、予想分配金利回りは長期金利を差し引いても相対的に高い水準にあること、また資産価格と比べた割安感も強まっていることから、利回り面での投資妙味や値ごろ感からの買いなどは引き続き下支え材料です。日銀が大規模な金融緩和策を維持し、長期金利が低下していることも安心材料です。
■来週の注目点
景気ウォッチャー調査(4月) 5月11日(木)午後2時発表
景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、3月に前月差1.3ポイント上昇の53.3となりました。新型コロナウイルスの影響緩和に伴い、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連のすべてのDIが上昇しました。
4月の現状判断指数も、小幅な上昇が見込まれます。引き続き感染症対策の緩和に伴う飲食関連などの回復や、インバウンド需要(訪日外国人による商品・サービス需要)の増加などが景況感を支えた模様です。ただ、物価高による家計への悪影響や米欧景気の減速懸念などを背景に、当面、景況感の改善は緩やかとなりそうです。
米雇用統計(4月) 5月5日(金)午後9時30分発表
3月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比23万6,000人増となり、また、平均時給は前月比0.3%増(前年比4.2%増)となりました。また、失業率は3.5%と、前月から低下しました。労働力の需給バランスの改善がみられるものの、米労働市場が依然堅調であることが示唆されました。
米連邦準備理事会(FRB)の利上げが続く中でも労働者への需要は、娯楽・ホスピタリティ、医療など、サービス部門中心に依然堅調とみられます。4月の非農業部門雇用者数は前月比17万5,000人増程度、平均時給は同0.3%増程度、失業率は3.6%程度を想定しています。
米消費者物価指数(4月) 5月10日(水)午後9時30分発表
3月の米消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比5.0%の上昇となり、前月より伸びが鈍化しました。他方、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIは同5.6%の上昇となり、前月を上回る伸びとなりました。
米労働市場はやや減速の兆しがみられるものの、サービス分野を中心に消費者の底堅い需要がみられました。今後も、サービス分野を中心に根強いインフレ圧力が想定される中、総合CPIの伸びは徐々に鈍化することが見込まれる一方、コアCPIは当面、高止まりしそうです。
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