来週の金融市場見通し(2023年3月27日~2023年3月31日)

■来週の見通し

米連邦準備理事会(FRB)は3月21、22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2会合連続で0.25%引き上げました。米銀の経営破綻を受けた金融システム不安に配慮して、利上げを見送るとの見方もありましたが、インフレ抑制を優先させた格好です。しばらくは、5月の会合での利上げの有無が焦点になりそうです。米個人消費支出(PCE)価格指数に加え、金融不安がくすぶる中、米上院・下院での最近の銀行破綻に関する公聴会なども確認したいところです。

◆株価 :方向感を欠く

日本株は、明確な方向感を欠く動きが予想されます。米国の銀行不安が根強い中、株価の上値を積極的に追う展開にはなりにくいと見込まれます。また、ドル安・円高圧力が輸出関連株を圧迫しそうです。とはいえ、米政府などの銀行支援策を踏まえれば、米国で深刻な金融危機が発生する可能性は現時点では低いとみられます。米国における利上げ停止期待も内外の株価を下支えすると見込まれることから、日本株の下落余地は限られそうです。

◆長期金利 :居所を探る

長期金利は欧米の金融不安が和らいだことから0.32%まで上昇したものの、その後はFRBが一段の利上げにやや慎重な姿勢を見せたことや、国債を追加発行する流動性供給入札が無難な結果になったことから、0.2%台に戻る動きになりました。欧米の金融不安が完全に払しょくされていない中、日銀が国債の空売りを抑制していることも手伝い、長期金利は上昇しにくい状況です。米金利をにらみながら居所を探ることになりそうです。

◆為替徐々に下値模索

ドル円は、徐々に下値を模索する展開が見込まれます。FOMC後のパウエルFRB議長の発言がハト派化したことに加え、米欧金融不安がくすぶっていることなどから、市場は早期利上げ打ち止めと年内の利下げを織り込みつつあります。そのような環境下、米長期金利は徐々に低下しており、ドル円もじりじりと下値を模索する展開が見込まれます。また、米金融不安を背景としたリスク回避の円買いもドル円の下押し要因となりそうです。

◆Jリート :戻りを探る

米欧の金融システム不安への警戒感から投資家のリスク回避姿勢が強まり、売りに押されたものの、値ごろ感からの買いも入り、底堅い動きが続きました。米欧の金融不安については、金融当局の迅速な措置、支援により収まってきていますが、まだ警戒感はくすぶっており、市場の重しになりそうです。とはいえ、新型コロナの感染拡大が徐々に収束してきている中、利回り面での投資妙味や割安感からの買いは下支えしそうです。

来週の注目点

鉱工業生産指数(2月、速報値) 3月31日(金)午前8時50分発表

鉱工業生産指数は1月に前月比5.3%低下し、90.7(2015年=100)となりました。自動車工業、生産用機械工業、電子部品・デバイス工業などが前月比で低下した一方、汎用・業務用機械工業などが上昇しました。

2月の鉱工業生産指数は、前月比で小幅な上昇が見込まれます。半導体などの不足がやや緩和したとみられる中、自動車工業などの持ち直しが見込まれます。とはいえ、米欧の景気減速懸念などを背景に、鉱工業生産は当面、勢いを欠く伸びにとどまる見通しです。

米個人消費支出(2月) 3月31日(金) 午後9時30分発表

1月の米個人消費支出(PCE)は、前月比1.8%増と昨年6月以来の大幅な伸びとなりました。また、PCE総合価格指数は前年比5.4%上昇となり、食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数は同4.7%上昇となりました。両指数とも前月を超える伸びとなりました。

米国では、依然堅調な労働市場が消費を下支えしており、財とサービスに対する支出が再加速した模様です。2月のPCEは前月比0.3%増程度が見込まれ、また、PCE総合価格指数は前年比5.1%程度、コア指数は同4.7%程度の伸びとなりそうです。

 

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