来週の金融市場見通し(2023年3月6日~2023年3月10日)

■来週の見通し

日銀総裁候補の植田氏への衆院、参院での所信聴取が無難に終わり、来週は黒田日銀総裁の任期最後の金融政策決定会合で異次元緩和の修正があるのかが注目されます。政策修正があった場合には、金融市場が不安定な動きになる可能性があります。他方、米利上げの長期化観測が強まる中、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.25%ではなく0.5%に利上げ幅を拡大するとの見方もくすぶります。来週末の米雇用統計や翌週の米消費者物価指数を確認しようと、様子見姿勢が徐々に広がることも想定されます。

◆株価 :方向感の乏しい展開か

日本株は、方向感の乏しい展開が予想されます。今後の日米金融政策が警戒される中、日本では週後半に日銀金融政策決定会合が開かれる上、米国では週末に雇用統計が発表されます。それらを控え、投資家の様子見姿勢が一旦優勢となりそうです。ただ、米連邦準備理事会(FRB)議長の発言などを受け内外の株価が大きく変動する可能性もあり、注意が必要です。とはいえ日本株については、ドル高・円安の動きなどに下支えされそうです。

◆長期金利 :日銀金融政策決定会合待ち

10年国債入札が無難な結果だったことや、警戒された落札利回りが日銀の許容幅上限0.5%を超えなかったことは買い安心感も、日銀の政策修正観測は根強く、長期金利は一時0.505%に上昇しました。また、FRBの利上げ長期化観測が強まる中、米長期金利が4%台まで上昇するなど、米金利に上昇圧力がかかっており、国内金利も低下しにくい状況です。来週の会合で日銀が政策修正に動き、荒れた展開になることには注意が必要です。

◆為替じりじりと上値模索

ドル円は、じりじりと上値を模索する展開が見込まれます。昨年第4四半期の米労働生産性指数(確定値)で単位労働コストが前期比で大きく上昇するなど、足元、インフレ懸念が再び高まっています。また、FRB高官からタカ派発言が相次いでおり、米利上げ局面の長期化観測を背景にドル円の堅調地合いは続きそうです。ただ、来週の日銀の金融政策決定会合の結果によっては、変動性が高まる中、上値が抑制される可能性は残ります。

◆Jリート :一進一退

東証REIT指数は、米長期金利の高止まりを嫌気して売りに押されたものの、押し目買いも入り底堅い動きとなりました。米利上げが長引くとの観測が強まる中、米長期金利の動きが落ち着くまでは、動きにくい状況が続く可能性があります。日銀が政策修正に動いた場合には、投資家心理が悪化することも想定されます。とはいえ、利回り面の妙味や割安感は下支え材料です。2月の東京都心のオフィス空室率も確認したいところです。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(2月) 3月8日(水)午後3時発表

景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、1月に前月差0.2ポイント低下の48.5となりました。ただ、家計動向関連が小売関連を中心に低下した一方、企業動向関連は製造業、非製造業とも上昇しました。

2月の現状判断指数は、小幅な上昇が見込まれます。海外からの観光客増や、新型コロナウイルスをめぐる懸念の緩和などが景況感を支えたとみられます。ただ、物価高に伴う消費者の節約志向などを踏まえると、景況感の改善は当面、緩やかなものにとどまりそうです。

米雇用統計(2月) 3月10日(金)午後10時30分発表

1月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比51万7,000人増となり、平均時給は前月比0.3%増となりました。また、失業率は3.4%となり、前月の3.5%から低下しました。米労働市場が依然堅調であり、引き続き賃金上昇圧力が強いことが示唆されました。

米連邦準備理事会(FRB)の利上げが続く中でも労働者への需要は、娯楽・ホスピタリティ、医療など、サービス部門中心に依然旺盛とみられます。2月の非農業部門雇用者数は前月比21万5,000人増程度、平均時給は同0.3%増程度、失業率は3.4%程度を想定しています。

 

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