来週の金融市場見通し(2023年2月13日~2023年2月17日)

■来週の見通し

1月の米雇用統計で雇用者数が予想を大幅に上回って増え、失業率が53年ぶりの水準に低下したことを受け、米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ停止への期待がやや後退する中、来週の米消費者物価指数(CPI)でインフレ鈍化が示されるかが注目されます。他方、日銀総裁人事では雨宮副総裁ではなく、経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏を起用する人事を固めたと報じられており、政策修正の思わくが強まりそうです。昨年10-12月期の実質国内総生産(GDP)速報値なども確認したいところです。

◆株価 :やや不安定な展開に

日本株は、やや不安定な動きが見込まれます。米国の景気やインフレの動向、利上げ観測に加え、日銀の新総裁や政策修正をめぐる思わくにより、株価が上下に変動する場面が多くなりそうです。米国では特にCPIが注目されますが、小売売上高なども重要です。また、日米主要企業の決算内容も注目されます。決算などが不調となれば株価を圧迫しそうですが、米欧の利上げ停止期待は根強く、株価の一方的な下落は想定しにくい状況です。

◆長期金利 :日銀の早期の政策修正を警戒

FRBが年内に利下げ転換するとの見方が後退する中、長期金利は0.495%と日銀の許容する0.5%に迫りました。ただ、30年国債入札が無難な結果となったことなどから引き戻された後は、0.49%前後のこう着した動きが続きました。日銀総裁の後任人事で、金融緩和策が大きく修正されるとの観測が強まると、長期金利に一段の上昇圧力がかかる可能性があります。国内のインフレが加速する中、長期金利は低下しにくい状況が続きそうです。

◆為替 : 変動性高い

ドル円は、レンジ内ながら変動性の高い展開が見込まれます。足元、複数のFRB高官から、タカ派発言が相次いでおり、米長期金利の低下余地は乏しいとみられ、ドル円を下支えしそうです。他方、米インフレ鈍化の傾向は継続しており、ドル円の上昇余地も限定的とみられます。とはいえ、来週は、1月の米CPIの発表や日銀の新総裁人事案の提示が予定されており、それらの結果次第では、ドル円は大きく乱高下する可能性が高そうです。

◆Jリート :底堅いものの上値は重いか

1月の東京都心のオフィス空室率が2か月ぶりに低下したことは安心材料です。利回り面での妙味や資産価格と比べた割安感なども市場を下支えするとみられます。とはいえ、日銀総裁人事では異次元緩和を推し進めてきた雨宮氏ではなく、植田氏を起用する人事を固めたと報じられており、政策修正への警戒から、不安定な動きになる可能性があります。日銀の金融政策をめぐる不透明感が払しょくされるまでは神経質な動きが続きそうです。

来週の注目点

GDP統計(22/10-12月期) 2月14日(火)午前8時50分発表

実質国内総生産(GDP)は、昨年7-9月期に前期比0.2%減(年率0.8%減)とマイナス成長になりました。個人消費が伸び悩んだほか、GDPから差し引かれる輸入の大幅な増加がGDP成長を圧迫しました。

10-12月期の実質GDPは、2期ぶりのプラス成長が見込まれます。サービス消費を中心とした個人消費の伸びが、プラス成長に寄与したとみられます。ただ、海外景気の減速を背景に、設備投資や輸出は小幅な伸びにとどまったとみられます。今後は緩やかなGDP成長が予想されますが、当面、物価高が個人消費などの重しとなりそうです。

米消費者物価指数(1月) 2月14日(火)午後10時30分発表

昨年12月の米消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比6.5%の上昇となり、前月から伸びが縮小しました。また、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIは、5.7%上昇とほぼ市場予想通りながら、前月から伸びが縮小しました。米インフレは依然高水準ながらも鈍化傾向を継続しました。

米労働市場が堅調な状況が続く中、引き続きサービス分野を中心に消費者の旺盛な需要が続きそうです。とはいえ、インフレ鈍化の傾向は緩やかながらも継続すると想定され、1月は総合で前年比6.2%程度、コアは同5.4%程度の伸びを想定しています。

 

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