来週の金融市場見通し(2023年2月6日~2023年2月10日)

■来週の見通し

米連邦準備理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げと、2会合連続で利上げ幅を縮小させました。また、会合後にパウエルFRB議長がインフレ鈍化に言及したことを受け、早期の利上げ停止観測が強まりました。他方、英中央銀行、欧州中央銀行(ECB)は0.5%の利上げを決めましたが、利上げ幅縮小が示唆されるなど、欧米の急激な金融引締めへの警戒は後退してきています。来週は米雇用統計を受けた米金融市場の反応に加え、パウエル議長の発言なども確認したいところです。

◆株価 :底堅い展開か

日本株は、底堅い展開が予想されます。米国で利上げの停止が近いとの観測が、内外の株価を支える見通しです。中国やユーロ圏などで景況感の改善が示され、世界景気の過度な減速懸念が和らぎつつあることも、株価の追い風となりそうです。ただ、国内企業の決算では弱い内容が目立っており、日本株が一方的に大きく上昇する可能性は低そうです。そうした中、引き続き日米の決算発表が注目されるほか、FRB高官の発言にも要注意です。

◆長期金利 :低下しにくい

長期金利は、日銀が国債買入れオペで前回から買入れ額を増やしたことで低下する場面があったものの、令和国民会議(令和臨調)が、政府・日銀の共同声明について、金融政策を柔軟化するため2%の物価目標を長期的な目標に据えることを提言したことなどを受け、日銀が政策の修正に動くとの思わくから、日銀が許容する上限の0.50%に迫る動きになりました。10年国債入札も低調な結果となり、低下しにくい状況が続きそうです。

◆為替上値重い

FOMCの結果が市場の想定通りだったことに加え、パウエルFRB議長の会見が警戒された以上にタカ派的とならなかったことから、ドル円は128円台に下落しています。FRBは今後も金融引締めを長期間継続するとみられ、日米金利差は引き続きドル円を下支えしそうです。とはいえ、米国での利上げの停止が近いとの観測が強い中、日銀の新総裁人事と金融政策修正に向けた思わくが重しとなり、ドル円は上値の重い地合いが続きそうです。

◆Jリート :底堅い動きの中、戻りを探る

日銀の政策修正への思わくから長期金利が上昇したことを嫌気し売りに押されたものの、1,800ポイント前半の水準では押し目買いも入り、底堅く推移しました。利上げ停止観測などから米長期金利が落ち着いた動きになる中、予想分配金利回りは4.1%を超えてきており、長期金利を差し引いても相対的に高い水準です。資産価格と比べた割安感からの買いも下支えすることが見込まれますが、長期金利の不安定な動きが重しになりそうです。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(1月) 2月8日(水)午後2時発表

景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、昨年12月に前月差0.2ポイント低下の47.9と、2か月連続で低下しました。家計動向関連は上昇したものの、企業動向関連は製造業を中心に低下しました。

1月の現状判断指数も、小幅な低下が見込まれます。家計動向関連については全国旅行支援などが引き続き追い風となったとみられる一方、物価高による消費者の節約志向が景況感の重しとなった模様です。また、企業動向関連では、原材料コストの高止まりや米国の景気減速などが製造業などの景況感を当面圧迫し続ける見通しです。

米ミシガン大学消費者マインド指数(2月) 2月10日(金)24時00分発表

1月の米ミシガン大学消費者マインド指数は、64.9となり、市場予想を上回るとともに、前月の59.7から上昇しました。また、1年先の米インフレ期待は3.9%に低下し、2021年4月以来の低水準となりました。インフレ期待の低下が停滞しつつあった消費者マインドを押し上げたとみられます。

米労働市場は依然堅調とみられる中、米インフレ鈍化の傾向は今後も消費者マインドを下支えすると見込まれます。とはいえ、米国景気の減速懸念は強く、今後の消費者マインドの動向は要注意です。

 

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