来週の金融市場見通し(2023年1月9日~2023年1月13日)

■来週の見通し

大発会の日経平均株価は、金融引締めによる米景気の減速懸念などから2年ぶりの下落となりました。今年も内外の金融政策をめぐる思わくに振らされる動きが続きそうです。他方、新型コロナウイルスの感染動向は懸念材料ですが、中国が感染拡大を防ぐ厳格な措置を緩める方向にあり、経済再開への期待もくすぶります。来週は、米労働市場の底堅さを示す雇用指標が相次ぐ中、6日発表の米雇用統計を受けた米金融市場の反応に加え、12月の米消費者物価指数(CPI)や米銀大手の決算なども確認したいところです。

◆株価 :方向感の乏しい展開に

日本株は、方向感の乏しい展開が見込まれます。米欧のインフレ鈍化期待に支えられる一方、米国の利上げや景気をめぐる不透明感が内外株価を圧迫する見通しです。また足元、ドル高・円安へ振れているものの一段の円安余地は限られるとみられ、輸出関連株の一方的な上昇は想定しにくい状況です。とはいえ、日本株は米国株などと比べ依然割安と判断されることなどを踏まえれば、日経平均株価が下落し続ける可能性も低いとみられます。

◆長期金利 :居所を探る

5日の10年国債入札では、落札利回りが日銀が昨年12月に引き上げた長期金利上限の0.5%に到達しました。日銀が早晩、金融緩和策をさらに修正するとの観測が根強い証左とみられます。もっとも、入札は想定内として長期国債を買い戻す動きも広がりました。やや不安定な動きが続く中、米長期金利の動きに加え、日銀による長期国債買入れオペや、30年国債、5年国債入札なども確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替レンジ内で方向感模索

米国では労働需要が依然堅調で、賃金の伸びにつながっているとみられることから、米金融引締めの長期化観測は根強い状況です。米長期金利の低下余地も限定的とみられ、ドル円の下値余地は乏しそうです。他方、市場では、4月の黒田日銀総裁の任期満了に向け、日銀のさらなる金融政策修正への思わくもあり、ドル円の上値を抑えそうです。当面、ドル円は、底堅いながらもレンジ内で方向感を模索する神経質な展開が続きそうです。

◆Jリート :戻りを探る

日銀が追加の金融緩和の修正に動くとの思わくがくすぶる中、長期金利上昇への警戒から積極的な買いが入りにくい状況が続いています。もっとも、日銀は物価上昇は鈍化していくとみており、しばらくは昨年12月の修正の影響を確認していくとみられます。予想分配金利回りは4%を超えてきており、長期金利と比べ相対的に高い水準です。割安感が強まる中、長期金利の動きが落ち着いてくれば、買い戻しが広がることも想定されます。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(12月) 1月12日(木)午後2時発表

景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、11月に前月差1.8ポイント低下の48.1と、4か月ぶりに低下しました。企業動向関連は上昇したものの、値上げなどを受け家計動向関連の低下が顕著となりました。

12月の現状判断指数は、小幅な低下が見込まれます。家計動向関連については食品などの値上げに伴う消費者の節約志向が続いたとみられるほか、新型コロナウイルスの感染拡大も景況感を圧迫した模様です。また、原材料価格の上昇や世界景気の減速懸念などを背景に、企業動向関連についても景況感の低迷が見込まれます。

米消費者物価指数(12月) 1月12日(木)午後10時30分発表

11月の米消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比7.1%の上昇となり、市場予想を下回りました。また、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIも、同6.0%上昇と市場予想を下回るなど、米国のインフレは依然高水準ながらも最悪期を過ぎた可能性が高いことが示唆されました。

11月は前月に比べ、住居費の伸びが鈍化し、宿泊費が下落に転じるなど、サービス分野の価格の伸びが鈍化しつつあります。12月も総合で前年比6.6%程度、コアは同5.7%程度の上昇と、緩やかながら伸びの鈍化が見込まれます。

 

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