来週の金融市場見通し(2022年12月19日~2022年12月23日)

2022/12/16

■来週の見通し

米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.50%の利上げと、4会合続いた0.75%から、利上げ幅が縮小しました。ただ、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、「インフレが持続的な下降経路にあるという確信を得るにはさらに多くの証拠が必要になるだろう」と、金融引締めに積極的なタカ派的な姿勢を崩しませんでした。金融引締めの長期化が米景気を悪化させるとの警戒が強まる中、しばらくは米消費者信頼感指数や米個人所得・個人消費支出などの経済指標を確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :やや軟調な展開か

日本株は、やや軟調な展開が予想されます。米国やユーロ圏などの利上げをめぐる不透明感や、世界的な景気減速懸念が株価を圧迫する見通しです。また、中国では新型コロナウイルス対策の緩和に伴う景気回復が期待されているものの、感染拡大への懸念が内外株価の上値を抑制しそうです。ただ、米国ではインフレ鈍化が鮮明になりつつあること、日銀の金融緩和は続くとみられることなどから、日本株の一方的下落は想定しにくい状況です。

◆長期金利 :0.25%付近での動きが継続

長期金利は日銀が許容する上限の0.25%付近でのこう着した動きが続いています。他方、超長期債については、20年国債入札が低調な結果となるなど、やや軟調な動き(利回り上昇)になりました。米長期金利が米消費者物価指数(CPI)の下振れや景気悪化懸念などから低下しても、国内の長期金利への影響は限定的でした。日銀が大規模な金融緩和策を修正するのではないかという思わくがくすぶる中、動きにくい状況が続きそうです。

◆為替徐々に下値模索

米国の高水準での利上げ長期化懸念が高まる中、欧州中央銀行のラガルド総裁も市場の想定以上にタカ派的な姿勢を示しました。それを受け、市場のリスク心理が悪化しており、米長期金利は3.4%台まで低下しています。また、11月の米消費者物価指数は米インフレ鈍化を示唆したことなどから、世界的に利上げ局面の終焉が近づいているとの観測が高まっています。来週のドル円の上値余地は限定的とみられ、徐々に下値を模索しそうです。

◆Jリート :一進一退の中、上値を探る

米国の金融引締めが長期化し、米景気が悪化するとの懸念が広がったものの、東証REIT指数は総じて堅調な動きが続きました。米国でインフレがピークアウトしてきている中、米長期金利の上昇が抑制されており、利回り面からの投資妙味も増しています。東証REIT指数は2,000ポイントを下回っており、値ごろ感からの買いも期待できます。とはいえ、投資家心理がさらに悪化することや新型コロナの感染動向には注意が必要です。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(11月) 12月23日(金)午前8時30分発表

全国・消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は10月に前年比3.6%上昇と、1982年2月以来の高いインフレ率になりました。光熱費の上昇に加え、円安などに伴う食料品の値上げが物価指数を押し上げました。

11月のコアCPIも、前年比3%台後半の上昇が見込まれます。引き続き資源高や円安などが、電気・ガス、食料品を中心に幅広い品目の価格を押し上げた模様です。当面、それらによるインフレ圧力は残る見込みですが、来年については、原油高や円安の一服などに伴い、コアCPI上昇率は次第に低下する可能性が高いとみられます。そのため、12月19-20日の金融政策決定会合でも、日銀は現行の金融緩和策を維持すると予想されます。

米個人消費支出(11月) 12月23日(金) 午後10時30分発表

10月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.8%増と市場予想を上回り、堅調な伸びとなりました。一方、物価指標として注目されるPCE総合価格指数は前年比6.0%上昇と市場予想を下回り、前月から伸びが鈍化しました。

米国では堅調な労働市場が消費を下支えしているとみられ、インフレが高進する中でも家計の堅調な支出が続いている模様です。とはいえ、市場では米インフレの鈍化観測が広がっており、11月のPCEは前月比0.2%増程度、また、PCE総合価格指数は前年比で5.6%程度と、伸びがやや鈍化しそうです。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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