来週の金融市場見通し(2022年10月24日~2022年10月28日)

■来週の見通し

米主要企業の2022年7-9月期の業績懸念は和らいでいますが、英国やカナダの9月の消費者物価指数(CPI)が高い伸びとなったことなどから、米連邦準備理事会(FRB)など欧米の中銀が積極的な金融引締めを続けるとの見方が強まっています。来週は、欧州中央銀行(ECB)理事会や日銀金融政策決定会合に加え、米IT大手や本格化する国内企業の決算発表などを確認しながら方向感を探ることになりそうです。翌週に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、様子見姿勢が広がることも想定されます。

◆株価 :方向感を欠く

日本株は、明確な方向感を欠く展開が予想されます。米国企業の底堅い決算に下支えされるとみられる一方、米国の大幅利上げに対する警戒感が、内外の株高を抑制する見通しです。また、円安は輸出企業の業績を押し上げるとみられるものの、円安による物価高は個人消費を圧迫するため、円安が日本株を押し上げる効果は限定的となりそうです。そうした中、日銀の金融政策決定会合や、米国などで発表される多数の経済指標が注目されます。

◆長期金利 :0.25%付近でのもみ合い継続

海外金利の上昇を受け、国内の長期金利は一時0.255%と日銀が許容する上限の0.25%を上回りました。もっとも、日銀が無制限で長期債を購入する指値オペを連日実施する中、0.25%に戻る動きになりました。日銀による金融緩和策の調整観測はくすぶりますが、来週の金融政策決定会合は現状維持となりそうです。海外金利の高止まりにより、国内金利は下がりにくい状況ですが、上昇も限定的で、0.25%付近でのもみ合いが続きそうです。

◆為替 :じりじり上値模索

ドル円は堅調な展開が継続すると見込まれます。米金融引締めは長期化するとの観測が強く、米長期金利は4.2%程度まで上昇しています。他方、日銀の金融緩和維持は揺るぎなく、日米の金融政策の方向性の違いを背景にドル円の堅調な流れは継続するとみられます。とはいえ、ドル円は150円台前半まで上昇しており、日銀のドル売り介入への警戒感が強いことから、一本調子の上昇ではなく、じりじりと上値を模索する展開となりそうです。

◆Jリート :戻りを探る

米長期金利の高止まりを受け、利回り面でのJリートの相対的な投資妙味が薄れるとの見方から売りに押され、東証REIT指数は節目の1,900ポイントを割り込みました。もっとも、予想分配金利回りは3.9%付近まで上昇しており、値ごろ感や利回りに着目した買いなどが期待できます。水際対策緩和や「全国旅行割」も下支えしそうです。積極的な米利上げの織り込みが一巡し、米金利が落ち着いてくると、持ち直しの動きも出てきそうです。

来週の注目点

日銀金融政策決定会合 10月28日(金)結果発表

今回の金融政策決定会合で日銀は、「物価安定の目標」の実現を目指し、現行の金融政策を維持する見込みです。

物価については上昇圧力が高まっており、28日に発表される10月の東京都区部・消費者物価指数(生鮮食品を除くコア指数)も2%を大きく超える伸びが見込まれます。とはいえ、足元の物価高はエネルギー価格などの上昇に伴う一時的なものと日銀は判断しており、当面、金融政策の大枠が変更される可能性は低いとみられます。ただ、利上げを続けている米国と日本との金融政策の違いを背景に円安が進む中、黒田日銀総裁の会見では、円安が日本経済に及ぼす影響などをめぐる発言が注目されます。

米個人消費支出(9月) 10月28日(金) 午後9時30分発表

8月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.4%増と市場予想を上回り、堅調な伸びとなりました。また、物価指標として注目されるPCE総合価格指数は前年比6.2%上昇と、前月からやや伸びが鈍化したものの、市場予想を上回りました。

米国では堅調な労働市場が消費を下支えしているとみられ、広範な物価上昇の中でも家計の堅調な支出が続いている模様です。ただ、ガソリン価格は落ち着いているものの、食品価格や家賃は上昇傾向にあり、今後もこれらへの支出が家計を圧迫しそうです。9月のPCEは前月比0.4%増程度、PCE総合価格指数は前年比6.3%程度の上昇が見込まれます。

 

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