来週の金融市場見通し(2022年10月17日~2022年10月21日)

■来週の見通し

9月の米消費者物価指数(CPI)のエネルギーと食品を除くコア指数が前年同月比で6.6%上昇と40年ぶりの高い伸びとなったものの、13日の米株は大幅反発しました。米金融市場は、11月、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75%の大幅利上げ継続をほぼ織り込んだ模様です。来週は9月の全国・消費者物価指数(CPI)などの経済指標に加え、本格化する米企業決算などを確認しながら方向感を探ることになりそうです。円安が一段と進行する中、政府・日銀が為替介入に動くかも注目されます。

◆株価 :上値の重い展開か

日本株は、上値の重い展開が予想されます。米国のインフレや金融政策をめぐる不透明感が根強い中、一方的な株高は想定しにくい状況です。ただ、値ごろ感に着目した買戻しの動きが、内外の株価を下支えする見通しです。日本株については、ドル高・円安による輸出企業の好業績への期待にも支えられそうです。そうした中、内外企業の決算や、米中などの経済指標を受けて株価の変動性が高まる可能性もあり、それらの内容が注目されます。

◆長期金利 :膠着継続か

前週末の9月の米雇用統計が労働市場の堅調さを示したことに加え、英中銀が緊急措置として導入した国債購入策を14日で終了する方針を示したことや、米CPIが上振れしたことから、米長期金利は一時4%乗せも、国内の長期金利は動きませんでした。米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ継続が織り込まれる中、国内の長期金利は低下しにくい状況です。一方、日銀が上限とする0.25%が天井となるため、膠着した動きが続きそうです。

◆為替 :徐々に上値模索

ドル円は堅調な展開が継続すると見込まれます。9月の米CPIが市場予想比で上振れたことから、米国のインフレ懸念がさらに高まっており、米金融引締めは長期化しそうです。他方、日銀の黒田総裁が改めて金融緩和の維持を表明するなど、日米の金融政策の方向性の違いを背景にドル円の堅調地合いは継続するとみられます。ただ、日銀のドル売り介入への警戒感は強いことから、ドル円は徐々に上値を模索する展開となりそうです。

◆Jリート :引き続き戻りを探る

米大幅利上げ継続が警戒される中、米長期金利上昇を嫌気する動きも手伝い、売りに押される動きが続きました。ただ、東証REIT指数は1,900ポイントは割り込まず、底堅い動きは続いています。9月の東京都心のオフィス空室率は8月から横ばいと、上昇が一服していることは安心材料です。米金融市場が大幅利上げ継続を織り込みつつあることも下支え材料です。内外の金融市場が落ち着いてくれば、値ごろ感からの買いも広がりそうです。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(9月) 10月21日(金)午前8時30分発表

全国・消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は8月に前年比2.8%上昇と、7月の同2.4%上昇から伸びが拡大しました。引き続き電気代やガス代が上昇していることに加え、特に食料(生鮮食品を除く)価格の上昇がコアCPIの上昇に寄与しました。

9月のコアCPIは、前年比3.0%の上昇が見込まれます。円安による輸入品の価格上昇などが幅広い品目の値上がりをもたらしており、当面3%前後の上昇率が続くと予想されます。ただ、生鮮食品およびエネルギーを除く指数は1%台での推移が見込まれ、賃金増も鈍いことなどから、日銀は現行の金融緩和策を当面維持する見通しです。

米鉱工業生産(9月) 10月18日(火)午後10時15分発表

8月の米鉱工業生産指数は、前月比0.2%の低下(前年比3.7%の上昇)となり、市場予想を下回りました。また、設備稼働率は80.0%と前月並みとなりました。

製造業については、企業の設備投資が堅調だったことが生産を下支えした模様です。また、鉱業生産は横ばいだったものの、石油、ガス掘削は増加しました。今後、米景気の減速懸念を背景に鉱工業生産は次第に低調となりそうです。9月は前月比0.1%程度の低下、設備稼働率は79.8%程度を想定しています。

 

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