来週の金融市場見通し(2022年10月10日~2022年10月14日)

■来週の見通し

豪中銀が0.5%の利上げを続けるとの市場予想に反して0.25%の利上げを決めたことを受け、景気への配慮から米欧中銀も急激な金融引締め姿勢を転換するとの期待が広がりました。ただ、翌日にニュージーランド中銀が0.5%の利上げを決定したことで、利上げ減速への期待はやや後退しています。今後は、7日の米雇用統計や13日の米消費者物価指数(CPI)で、利上げ減速への期待が強まるかが注目されます。米連邦準備理事会(FRB)高官の発言に加え、11日からの入国制限緩和の影響も確認したいところです。

◆株価 :やや軟調な展開か

日本株は、やや軟調な展開が予想されます。日経平均株価は1週間で1,100円超の上昇となっており、利益確定売りに押される見通しです。また、米国の利上げが鈍化するとの期待から株価は上昇しましたが、米国の良好な雇用環境が確認された場合、そうした期待が後退しそうです。米国で発表されるCPIを受け、相場が不安定となる可能性もあります。ただ、国内外の企業業績は底堅いとみられ、株価下落は限定的となりそうです。

◆長期金利 :米長期金利にらみも、動きは鈍いか

9月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況指数が予想を下回ったことや、豪中銀の利上げが小幅にとどまり、米長期金利が低下する局面でも、株高を受け、安全資産とされる国債を売る動き(利回り上昇)も出て、国内の長期金利の動きは限定的でした。米雇用統計や米CPIなどを受け、米金利が大きく動いた場合でも、国内の長期金利は小幅な動きにとどまりそうです。5年国債、30年国債入札も確認したいところです。

◆為替 :底堅い中、一進一退

ドル円は底堅いながらも一進一退の展開が見込まれます。複数のFRB高官からタカ派発言が続いており、米金融引締めは長期化する可能性が高そうです。日米の金融政策の方向性の違いを背景にドル円の堅調地合いは継続するとみられます。とはいえ、日銀の介入警戒感があること、米長期金利が足元、やや方向感の乏しい動きとなっていること、米CPIの発表を控えていることなどから、当面、ドル円は一進一退の動きとなりそうです。

◆Jリート :引き続き戻りを探る

11日から新型コロナの水際対策が緩和されることを受けたインバウンドへの期待や、「全国旅行支援」開始は下支え材料です。9月の東京都心のオフィス空室率は前月比横ばいとなり、空室率上昇に一服感が出ていることも安心材料です。予想分配金利回りも3.7%台半ばと国内の長期金利などに比べ相対的に高い水準です。とはいえ、米利上げの長期化観測などから日米の金利が上昇することや、投資家心理が悪化することには注意が必要です。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(9月) 10月11日(火)午後2時発表

景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、8月に前月差1.7ポイント上昇の45.5と50を下回ったものの、3か月ぶりに上昇しました。家計動向関連、企業動向関連、雇用関連のすべてのDIが上昇しましたが、特に家計動向関連のうち飲食関連の上昇が顕著でした。

9月の現状判断指数は、小幅な上昇が見込まれます。新型コロナウイルスの感染者減少などが、家計動向関連などのDI上昇に寄与する見込みです。ただ今後は、資源高や円安などに伴う物価高が個人消費を圧迫するとみられ、景況感の改善は緩やかなものにとどまる見通しです。

米消費者物価指数(9月) 10月13日(木)午後9時30分発表

8月の米消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比8.3%の上昇となり、市場予想を上回りました。また、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIも、同6.3%上昇と、市場予想を上回りました。8月は特に食品価格が前年比で11.4%と大きな伸びとなりました。

前月に続き、原油などエネルギー価格は下落したものの、食品価格や住居費の上昇は続いています。また、産油国の原油生産枠削減の方針が示唆されており、エネルギー価格の今後の動向も予断を許しません。9月は総合で前年比8.1%程度の上昇、コアは同6.5%程度の上昇を想定しています。

 

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