来週の金融市場見通し(2022年8月22日~2022年8月26日)

■来週の見通し

7月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、米連邦準備理事会(FRB)は市場が警戒するほどの金融引締めに積極的なタカ派ではないとの見方が広がりました。ただ、米セントルイス連銀のブラード総裁が9月のFOMCについて「0.75%の利上げに傾いている」と、大幅利上げ継続に前向きな姿勢を示すなど、市場が期待する利上げペース鈍化についてはまだ不透明な状況です。来週は米個人消費支出などの経済指標のほか、ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の発言に注目が集まります。

◆株価 :上値の重い展開に

日本株は、上値の重い展開が予想されます。日米の株価は米国における利上げペースが減速するという期待などから一旦大きく上昇しましたが、こうした株高は、やや行き過ぎである可能性があります。実際、米国のインフレ率は依然として極めて高く、米FRBによる今後の金融政策はまだ不透明です。そのため当面は、FRB高官の発言や、米国などで多数発表される経済指標の結果次第で、内外の株式市場は神経質な動きになりそうです。

◆長期金利 :パウエルFRB議長待ち

米国や中国の景気減速懸念が強まり、欧米金利の低下とともに国内の長期金利も0.165%まで低下したものの、7月の英消費者物価指数(CPI)が前年同月比10.1%上昇と大幅な伸びとなったことなどを受け、0.195%まで上昇する動きになりました。20年国債入札は強めの結果で、良好な需給は継続している模様です。来週は週末のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の発言を確認しようと、様子見姿勢が強まる可能性があります。

◆為替 :方向感模索

7月のFOMC議事要旨において、多くの参加者が物価安定のために必要以上に政策スタンスを引き締めるリスクを認識していることが示されました。FRBが今後、利上げ幅についてより慎重になる可能性があります。日米金融政策の方向性の違いは引き続きドル円の下支え要因であるものの、徐々にドル円の上値は重くなるとみられます。来週は経済指標やFRB高官の発言などを確認しながら、方向感を模索することになりそうです。

◆Jリート :値固めをしながら上値を探る

東証REIT指数は、日米の長期金利低下を受け、利回り面での投資妙味から買いが強まり、16日には約7か月ぶりの水準まで上昇しました。その後は一旦利益確定売りに押されましたが、週末には16日の水準を上回りました。長期金利が低位で推移していることや、東京都が助成する観光支援事業「もっとTokyo」の試行が9月1日に再開することは下支え材料です。2,000ポイント台前半で値固めをしながら、上値を探る動きが続きそうです。

来週の注目点

東京都区部・消費者物価指数(8月) 8月26日(金)午前8時30分発表

東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は7月に前年比2.3%上昇と、消費税増税の影響で押し上げられた2014年12月以来の高い伸びとなりました。特に、電気代やガス代の上昇がCPIの上昇に寄与しましたが、生鮮食品を除く食料の上昇も顕著でした。

8月の東京都コアCPIについても、エネルギー高や食料高を背景に前年比2.3%程度の上昇が見込まれます。今後も当面、2%台の上昇率が予想されるものの、生鮮食品およびエネルギーを除く指数は7月に前年比1.2%上昇にとどまっており、物価上昇の基調は欧米などに比べると強くない状況です。足元、原油価格やドル円相場の上値が重くなっていることも踏まえると、今年終盤以降にはコアCPIの上昇率は徐々に低下する見通しです。

米個人消費支出(7月) 8月26日(金) 午後9時30分発表

6月の米個人消費支出(PCE)は、前月比1.1%増と市場予想を上回りました。また、物価指標として注目されるPCE総合価格指数は前年比6.8%上昇と、過去40年で最大の伸びとなりました。

インフレ高進が続く中、堅調な労働市場や貯蓄などに支えられてはいるものの、消費の勢いには徐々に陰りがみられます。ガソリン価格はやや低下したものの、食品価格や家賃は高止まっており、引き続きこれらへの支出が家計を圧迫しそうです。7月のPCEは前月比0.3%増程度、PCE総合価格指数は前年比6.8%程度の上昇が見込まれます。

 

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