来週の金融市場見通し(2022年7月25日~2022年7月29日)

■来週の見通し

日銀は強力な金融緩和を維持する一方、欧州中央銀行(ECB)は通常の2倍となる0.5%の利上げを決定し、2014年6月に導入したマイナス金利政策を解除しました。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、1%の利上げ予想は後退しており、0.75%の利上げとなりそうです。仮に1%の利上げが決定されると内外の金融市場が荒れた動きになる可能性があり注意が必要です。内外の経済指標に加え、アルファベット、メタ・プラットフォームズ、アップル、アマゾンなどの決算発表も注目されます。

◆株価 :やや軟調な展開か

日本株は、やや軟調な展開が予想されます。日経平均株価は1週間で1,000円を超える上昇となったため、利益確定売りが優勢となりそうです。国内における新型コロナウイルスの感染急拡大も、株価の悪材料となる見込みです。とはいえ、米国では好業績への期待などを背景に株価が持ち直しつつあり、投資家の過度な不安は和らいでいます。そうした中、日米の4-6月期決算発表で堅調な業績が相次いだ場合、株価の上昇場面もありそうです。

◆長期金利 :レンジ継続

長期金利は、日銀金融政策決定会合を前に0.245%まで上昇しましたが、強力な金融緩和が維持されたことを受け、低下する動きになりました。会合の結果が公表される21日も、日銀は長期金利が0.25%を超えないよう国債を無制限に買い入れる指値オペを実施し、長期金利の上昇を抑制する姿勢を改めて示しました。来週のFOMCを波乱なく通過すると米金利が落ち着き、国内の長期金利もレンジ内での動きが続くことが見込まれます。

◆為替 :底堅い中にも調整余地

来週のFOMCでは0.75%の利上げが見込まれる一方、7月の日銀金融政策会合ではインフレ見通しは上方修正されたものの、金融緩和姿勢は維持されました。ドル円は引き続き日米金融政策の方向性の違いを背景に堅調な展開が続きそうです。ただ、欧米景気の減速懸念が高まっており、世界的に株価が調整するなど、米長期金利が低下余地を模索する展開になると、ドル円の上値が抑えられ、レンジ取引に終始する可能性もありそうです。

◆Jリート :上値を探る

東証REIT指数は、米長期金利上昇を受け下落する場面があったものの、株高を受け、投資家心理が上向いたことから、週末には一時2,000ポイントを上回りました。日銀が強力な金融緩和策を維持したことは下支え材料です。来週のFOMCを波乱なく通過すると安心感が広がる可能性があります。利益確定売りをこなし2,000ポイントを明確に上抜けることができるか注目されます。とはいえ、新型コロナの感染動向には注意が必要です。

来週の注目点

鉱工業生産指数(6月、速報値) 7月29日(金)午前8時50分発表

鉱工業生産指数は5月に前月比7.5%低下し、88.0(2015年=100)となりました。中国における新型コロナウイルスの感染拡大により部品供給網が混乱したことなどを受け、特に自動車工業や電気・情報通信機械工業の低下が顕著となりました。

6月の鉱工業生産指数は、前月比で4%前後の上昇が見込まれます。中国で上海市の行動制限が緩和され、供給網の混乱が和らいだことが生産を押し上げたとみられます。とはいえ、世界経済をめぐる先行き不透明感が強い中、生産の伸びは当面、緩やかなものにとどまる見通しです。

米個人消費支出(6月) 7月29日(金) 午後9時30分発表

5月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.2%増と市場予想を下回りました。また、物価指標として注目されるPCE総合価格指数は前年比6.3%上昇と、市場予想をやや下回り、前月と同じ伸びとなりました。

インフレ高進が続く中、堅調な労働市場や貯蓄などに支えられてはいるものの、消費の勢いには徐々に陰りがみられ、ガソリンや食品価格の高止まりが家計支出を圧迫する可能性があります。6月のPCEは前月比0.8%増程度、PCE総合価格指数は前年比6.6%程度の上昇が見込まれます。

 

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