来週の金融市場見通し(2022年7月4日~2022年7月8日)

■来週の見通し

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、欧州中央銀行(ECB)主催のシンポジウムで、行き過ぎた利上げがリセッション(景気後退)を招くリスクよりも、高インフレの抑制に失敗するリスクへの懸念のほうが大きいとの考えを示しました。来週は、米金融政策や米景気の先行きへの懸念に振らされる展開が続く中、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月開催分)や米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況指数などを確認しつつ、週末の米雇用統計発表を待つことになります。

◆株価 :上値の重い展開に

日本株は、上値の重い展開が予想されます。米国などのインフレや景気減速、金融引締めに対する懸念が当面、内外株価の上値を抑える見通しです。また、米国債の利回り低下が株式市場の好材料となり得るものの、米金利低下に伴いドル安・円高が進んだ場合には、輸出企業の株価を圧迫しそうです。とはいえ、日本では現行の金融緩和策が続く見込みであること、中国景気が回復基調を示していることなどが、日本株を下支えする見通しです。

◆長期金利 :居所を探る

日銀が長期金利の上限を0.25%とする金融緩和策を堅持して以降、長期金利は0.2%台前半での動きが続いています。増額観測もあった日銀の7-9月の長期国債買入れオペ予定額が据え置かれたものの、影響は限定的でした。米国の景気減速懸念が広がる中、米長期金利が一時3%を下回るなど、米金利上昇が一服していることは、国内金利の上昇を抑制しそうです。10年国債、30年国債入札も確認しながら、居所を探る動きが続きそうです。

◆為替 :方向感模索

日米金融政策の方向性の違いを背景にドル円の底堅い地合いは継続するとみられます。とはいえ、米国の早期大幅利上げ観測やインフレ高進を受け、米個人消費の勢いに陰りがみられるなど、米景気の減速懸念が高まっています。それを受け、米長期金利は3%程度に低下し、同水準でやや方向感の乏しい動きとなっています。ドル円は、米雇用統計など今後発表される米経済指標などをにらみながら、方向感を模索する展開となりそうです。

◆Jリート :一進一退の中、上値を探る

上半期のNYダウは15.3%下落、日経平均株価は8.3%下落となった一方、東証REIT指数は4.8%の下落にとどまりました。積極的な米金融引締めやウクライナ紛争など悪材料の中でも底堅く推移した格好です。日米の長期金利が落ち着いてきていることに加え、経済活動やGoToトラベル再開への期待も下支え材料です。やや不安定な内外の株式市場の動きや、6月のオフィス空室率なども確認しながら、上値を探ることになりそうです。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(6月) 7月8日(金)午後2時発表

景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、5月に前月差3.6ポイント上昇の54.0となりました。経済活動正常化の動きが進む中、家計動向関連のうち、飲食関連やサービス関連の指数上昇が目立ちました。

6月の現状判断指数は、横ばい程度が見込まれます。活動正常化に伴う景況感回復は一巡しつつある模様である上、資源高が製造業などの景況感を圧迫したとみられます。足元、東京都などで新型コロナウイルスの感染者数が増加傾向となっていることも踏まえれば、今後も当面、現状判断指数の持続的な大幅上昇は見込みにくい情勢です。

米雇用統計(6月) 7月8日(金)午後9時30分発表

5月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比39万人増となり、市場予想を上回りました。また、失業率は3か月連続で3.6%となりました。引き続き米国の労働市場の回復が堅調なペースで続いていることが示唆されました。

雇用者数は娯楽・ホスピタリティ、教育、ヘルスケアなどの分野で伸びており、労働需給のひっ迫する中、今後も米労働市場の改善は継続すると見込まれます。とはいえ、雇用者数はコロナウイルス感染拡大前の水準をおおむね回復しており、次第に雇用者数の伸びは鈍化するものとみられます。6月の非農業部門雇用者数は前月比25万人増程度、失業率は3.6%程度を想定しています。

 

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