来週の金融市場見通し(2022年6月20日~2022年6月24日)

2022/06/17

■来週の見通し

5月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想以上に上昇し、インフレへの警戒が強まる中、米連邦準備制度理事会(FRB)は、政策金利を0.75%引き上げました。また、スイス中銀が予想外の利上げを、英中銀も5会合連続の利上げを発表し、欧米中銀の金融引締めが世界景気を冷やすとの見方も台頭しています。他方、日銀は強力な金融緩和を堅持しました。今後は、欧米の金融引締めによる景気後退への警戒が後退するかが注目されます。経済指標に加え、パウエルFRB議長の議会証言も確認したいところです。

◆株価 :やや上昇か

日本株は、やや上昇する可能性が高いとみられます。日経平均株価が5日間で1,900円近く下落した後、値ごろ感からの買いが優勢となりそうです。日本では米国などとは異なり金融緩和策が維持されていることや、円安による輸出企業の業績向上期待などが当面、日本株を下支えする見通しです。とはいえ、米国の株式市場などが不安定になる中、欧米の金融政策や景気をめぐる思わくにより、日本株の変動幅が大きくなる場面もありそうです。

◆長期金利 :居所を探る

世界の中央銀行が金融引締めを進める中、日銀も金融政策を修正するとの観測から、長期金利は一時0.265%と日銀が上限とする0.25%を大きく上回りました。もっとも、日銀が強力な金融緩和を維持したことから、低下する動きになりました。日銀は超長期債の買入れオペを臨時で実施するなど、長期金利だけでなく他の年限の債券利回りの上昇も抑制する姿勢を示しています。市場が日銀の金融政策の修正を催促する動きは後退しそうです。

◆為替 :堅調な展開

FRBは政策金利を0.75%引き上げました。その後、米景気の減速懸念が強く意識されたことで、一時上昇していた米株が大幅に下落し、米長期金利も低下しました。それを受け、ドル円は一時、131円台半ばまで下落しました。しかし日銀が強力な金融緩和の維持を決定したことから、FRBをはじめとする海外の中央銀行との金融政策の方向性の違いがより明確となっており、ドル円の下値余地は乏しく、引き続き堅調な展開となりそうです。

◆Jリート :戻りを探る

FRBの急激な金融引締めが景気後退を招くとの警戒から、株式市場とともにJリート市場も大きく値を下げる動きになりました。もっとも、東証REIT指数が1,900ポイント割れの水準では押し目買いも入り、底割れは回避した格好です。経済再開への期待や、日銀が金融緩和を続けていることは下支え材料です。予想分配金利回りも3.8%前後まで上昇しており、内外の金融市場が落ち着いてくると、持ち直しの動きも強まりそうです。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(5月)  6月24日(金)午前8時30分発表

4月の全国消費者物価指数は、総合が前年比2.5%上昇、生鮮食品を除く総合が2.1%上昇と、3月(それぞれ1.2%上昇、0.8%上昇)から伸びが大幅に拡大しました。資源高のほか、携帯電話通信料の値下げ一巡による影響が消費者物価指数を大きく押し上げました。

5月についても、総合、生鮮食品を除く総合ともに、前月と同程度の伸びが見込まれます。今後も当面、原油高などを背景に物価上昇率は高止まりする可能性が高く、家計の購買力を圧迫する見通しです。ただ、生鮮食品およびエネルギーを除く総合では4月に0.8%上昇にとどまるなど、基調的な物価上昇率は比較的抑制されているため、日銀は当面、現行の金融緩和策を維持する見通しです。

ユーロ圏製造業PMI(6月)  6月23日(木)午後5時発表

5月のマークイットユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)は54.6となり、4か月連続で低下しやや予想を下回りました。ただ、一昨年の7月以来、活動の拡大縮小の境目となる50を上回る状況は続いています。また、総合PMIも54.8となり、予想を下回ったものの、昨年の3月以来15か月連続で50を上回りました。

ユーロ圏は、ウクライナ情勢などの影響から、エネルギー価格や原材料価格の高騰が続く中、サプライチェーンの混乱も残っており、製造業は当面、厳しい環境が続きそうです。今後も、製造業、総合ともPMIは高水準ながら、徐々に弱含みで推移する見通しです。

 

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https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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