来週の金融市場見通し(2022年5月23日~2022年5月27日)

■来週の見通し

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が、必要ならば中立金利(景気を冷やしも熱しもしない水準)以上に利上げすることをためらわないと述べたことを受け、金融引締めペースの加速が改めて意識されました。他方、低調な米小売り決算が相次ぎ、インフレが企業業績を圧迫するとの懸念が広がりました。来週は米連邦公開市場委員会(FOMC、5月)議事要旨が公表されます。FRBが、リセッション(景気後退)に陥ることなくインフレを抑制するソフトランディングに持っていけるかを探る動きが続きそうです。

◆株価 :底堅い動き

日本株は、底堅い動きが予想されます。足元、米国のインフレや金融引締めに対する警戒が内外株価の上値を抑えていますが、米国株と比べた日本株の割安感が日経平均株価を支える見通しです。また、為替は一旦円高へ振れているものの、当面、一段の円高余地は限定的と見込まれることが、輸出企業の株価を支援しそうです。ただし、金融引締めによる米国経済の減速懸念が強い中、日本株の上昇は勢いの乏しいものにとどまる見込みです。

◆長期金利 :狭いレンジの中、居所を探る

長期金利は、米長期金利が低下に転じたことや、20年国債入札が順調な結果になったことなどから、僅かに低下する動きになりました。4月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年同月比2.1%上昇と、日銀の2%物価安定目標の水準に到達しました。もっとも、日銀は物価上昇は持続しないとみているため、影響は限定的でした。狭いレンジの中、米金利や40年国債入札などを確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替 :徐々に下値模索か

米国のインフレ高進や早期大幅利上げ観測などを受けた米景気の減速懸念に加え、ウクライナでの戦争長期化、中国景気の減速などリスク要因は多く、市場ではリスク回避の動きが優勢となっています。日米の金融政策の方向性の違いは依然ドル円の下支え要因ではあるものの、足元、米長期金利が緩やかに低下する中、リスク回避の円買いも入りやすくなっていることから、来週のドル円は徐々に下値を模索する展開となりそうです。

◆Jリート :上値を探る

東証REIT指数は、国内株が上昇し、投資家心理が改善したことや、米長期金利が低下に転じたことなどから、総じて強含みで推移しました。日銀が10年国債を利回り0.25%で無制限に買い入れる指値オペを連日実施しており、長期金利の上昇を抑えていることは安心材料です。また、政府が6月から入国制限を緩和することを検討していることも下支え材料です。利益確定売りに抑えられながらも、上値を探る展開となりそうです。

来週の注目点

東京都区部・消費者物価指数(5月) 5月27日(金)午前8時30分発表

東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は4月に前年比1.9%上昇と、3月の同0.8%上昇から伸びが大きく拡大しました。原油高などを受けた電気・ガス代の大幅上昇のほか、携帯電話通信料の値下げによる影響が薄れたことが、消費者物価を押し上げました。

5月の東京都コアCPIについても、通信料の値下げ一巡やエネルギー高を背景に、前年比2%程度の上昇が予想されます。なお、東京都の物価指数は全国物価指数の先行指標とされており、全国のコアCPI(4月に同2.1%上昇)も当面、同2%前後の伸びが続く見通しです。

米個人消費支出(4月) 5月27日(金) 午後9時30分発表

3月の米個人消費支出(PCE)は、前月比1.1%増と市場予想を上回りました。また、物価指標として注目されるPCE総合価格指数は前年比6.6%上昇と1982年以来の高い伸びとなりました。物価上昇率が高水準となる中でも底堅い消費が継続している模様です。

緊迫しているウクライナ情勢を背景に、ガソリンや食品など、必需品のコストが引き続き上昇しており、消費を圧迫する可能性が高そうです。4月のPCEは前月比0.6%増程度、PCE総合価格指数は前年比6.3%程度の上昇が見込まれます。

 

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