来週の金融市場見通し(2022年5月16日~2022年5月20日)

■来週の見通し

4月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.3%上昇、米卸売物価指数(PPI)も同11%上昇と、高水準ながらも3月からは伸びが鈍化しました。インフレがピークに達したとの見方も出てきていますが、ピークアウトが明確になるまでは、不安定な市場の動きが続く可能性があります。他方、米金融当局者からは今後2回の会合での0.5%ずつの利上げを支持する発言が相次いでいます。ただ、0.75%の利上げについては否定的なようです。米金融当局者の発言に加え、内外の経済指標も確認したいところです。

◆株価 :緩やかな上昇か

日本株は、緩やかな上昇が予想されます。米国のインフレ懸念や金融引締め観測などから、日経平均株価は12日、約2か月ぶりの安値に下落しました。とはいえ、国内では金融緩和策が継続すると見込まれることなどを踏まえれば、日本株は売られ過ぎとみられます。そのため、好業績が確認された企業の株式を中心に、買戻しの動きが当面優勢となる見通しです。ただ、米中などの景気減速懸念は根強く、株価の上昇幅は限定的となりそうです。

◆長期金利 :狭いレンジでの動きが継続

日銀は5月から、10年国債を利回り0.25%で無制限に買い入れる指値オペを、原則として毎営業日実施しています。この連続指値オペを受け、長期金利は0.25%手前の狭いレンジでの動きが続いています。利上げが一段と加速するとの見方が後退し、米長期金利が落ち着いてくれば、国内の長期金利もやや低下することも想定されます。ただ、国内の4月のCPIは2%程度まで上昇するとみられ、金利低下も限定的になりそうです。

◆為替 :上値重い中、レンジ内推移

米国の早期大幅利上げ観測などを受けた米景気の先行き不透明感に加え、ウクライナでの戦争長期化による悪影響や中国景気の減速などのリスク要因を背景に、世界的に株安、金利低下の動きとなっています。日米金融政策の方向性の違いは依然ドル円の下支え要因ですが、米長期金利が低下する中、リスク回避の円買いも入りやすくなっており、ドル円の上値は重そうです。ドル円は当面、方向感の乏しいレンジ内での推移が続きそうです。

◆Jリート :上値を探る

東証REIT指数は、株安を受けて運用リスクを回避する動きが広がり、一時約1か月半ぶりの安値まで下落しましたが、押し目買いが強まったことや投資家心理が回復したことから、下げ幅を縮小しました。国内の長期金利が上昇しにくくなっていることは安心材料です。6月からは入国制限が緩和されると伝えられていることも下支え材料です。株価の動向や新型コロナの感染状況などを確認しながら、上値を探る展開になりそうです。

来週の注目点

GDP統計(22/1-3月期) 5月18日(水)午前8時50分発表

実質国内総生産(GDP)は、昨年10-12月期に前期比1.1%増(年率4.6%増)と、プラス成長になりました。9月末に緊急事態宣言が解除されたことを受け、個人消費の持ち直しが顕著となりました。

1-3月期の実質GDPは、前期比減(マイナス成長)となる見通しです。年明け以降、新型コロナウイルスの感染が急拡大したことから、サービス消費などの不調が見込まれます。また、純輸出(輸出-輸入)もマイナスとなりそうです。4-6月期にはプラス成長に戻る見込みですが、物価高などによる実質賃金の低迷などを踏まえれば、個人消費などの回復は緩慢なものにとどまる見通しです。

米鉱工業生産(4月) 5月17日(火)午後10時15分発表

3月の米鉱工業生産指数は、前月比0.9%の上昇となり、市場予想を上回りました。サプライチェーンの混乱が改善する中、製造業中心に鉱工業全般の着実な進展が示されました。また、設備稼働率は78.3%と前月から上昇しました。

足元、底堅い設備投資に支えられ、受注の伸びが依然堅調な中、自動車生産が急速に持ち直している模様です。また、石油、ガス掘削も伸びるなど、当面、鉱工業生産は堅調な状況が続きそうです。4月は前月比0.4%程度の上昇、設備稼働率は78.5%程度を想定しています。

 

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