来週の金融市場見通し(2022年4月18日~2022年4月22日)

■来週の見通し

3月の米消費者物価指数(エネルギー・食品を除くコアCPI)の伸び(前月比)が2月から減速したことを受け、インフレのピークアウト観測が出てきています。ただ、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が、5月の0.5%の利上げは妥当な選択肢と述べるなど、米連邦準備理事会(FRB)の積極的な引締め姿勢は変わっていないとみられます。一方、黒田日銀総裁は強力な金融緩和を粘り強く続ける姿勢を崩していません。来週はFRB高官の発言や内外の経済指標に加え、日米の企業決算も確認したいところです。

◆株価 :方向感の乏しい展開に

日本株は、方向感の乏しい展開が予想されます。米国の金融引締めに対する警戒感は根強く、株価の上値を積極的に追う動きは限られそうです。ウクライナ紛争を背景とした原油高や、中国景気の減速懸念も株価を圧迫しそうです。とはいえ、円安が輸出企業の業績を押し上げるとみられること、現時点では米国景気は底堅さを示していることなどが、株価を下支えする見通しです。そうした中、内外の経済指標や企業決算が注目されます。

◆長期金利 :レンジ継続

長期金利は0.2%台前半での狭いレンジでの動きが続きました。インフレ加速への警戒から、米長期金利とともに国内の長期金利も一旦上昇しました。ただ、3月の米CPI(コア指数)の伸びが2月から減速したことを受け、低下する動きになりました。20年国債入札は弱かったものの、入札後は買いが優勢になりました。米金利をにらみながらも、超長期国債への押し目買い意欲は根強いとみられ、一段の金利上昇は限定的となりそうです。

◆為替 :底堅い地合いも動きは鈍そう

日米の金融政策の方向性の違いを背景に、ドル円は底堅い展開が続きそうです。ただ、FRBの理事の一人が、米国のインフレはピークに達し、今後減速に転じるとの見方を示したこともあり、米金利の上昇は一服する可能性があります。また、鈴木財務相や岸田首相から、足元の円安をけん制する発言が相次いでいることもあり、当面、ドル円の上値余地は限定的とみられ、来週は126円台でやや方向感の乏しい展開が見込まれます。

◆Jリート :値固めをしながら上値を探る

東証REIT指数は底堅いものの、2,000ポイントに近づくと押し戻される一進一退の展開が続きました。2,000ポイント手前で値固めができると、上昇余地を探る展開も想定されます。予想分配金利回り3.6%に対応する東証REIT指数の2,040~2,050ポイント、3.5%に対応する2,100ポイント程度が、目先の上値の目途になりそうです。経済活動再開やGoToトラベルへの期待は下支え材料ですが、新型コロナの感染動向には注意が必要です。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(3月)  4月22日(金)午前8時30分発表

2月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比0.6%上昇と、1月の同0.2%上昇から伸びが拡大しました。資源高を背景に、電気代(同19.7%上昇)やガス代(同16.5%上昇)が大きく上昇しました。

3月のコアCPIは、前年比0.8%程度の上昇と、伸びがさらに拡大する見込みです。資源高が一段と進んだことに加え、生鮮食品を除く食料の価格上昇などが、物価指数を押し上げたとみられます。なお、4月以降については、携帯電話通信料の値下げ一巡の影響もあり、コアCPIの上昇率は2%近くまで高まる見通しです。

ユーロ圏製造業PMI(4月)  4月22日(金)午後5時発表

3月のマークイットユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)は56.5と、2か月連続で低下しました。とはいえ、一昨年の7月以来、活動の拡大縮小の境目となる50を上回る状況が続いています。また、総合PMIも54.9となり、昨年の3月以来13か月連続で50を上回りました。

ユーロ圏では、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、エネルギーや原材料価格の高騰が続いており、インフレの加速や新たなサプライチェーン問題の経済活動への悪影響が懸念されます。4月の製造業PMIは54.8程度、総合PMIは53.9程度を想定しています。

 

 

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