来週の金融市場見通し(2022年4月4日~2022年4月8日)

■来週の見通し

ロシアとウクライナが3月29日にトルコで開いた停戦交渉では、歩み寄りがみられたものの、まだ隔たりは大きく、楽観できない状況です。原油価格が高止まりする中、バイデン米政権は戦略石油備蓄を1日あたり平均100万バレル放出すると決めました。来週は内外の経済指標に加え、利上げ開始を決定し、利上げ見通しも大幅に引き上げた米連邦公開市場委員会(FOMC、3月)議事要旨や、積極的な国債買入れで金利上昇を抑える日銀の野口審議委員の挨拶なども確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :方向感を欠く

日本株は、明確な方向感を欠く動きが予想されます。ウクライナ情勢をめぐる不透明感に加え、米国の金融引締めに対する警戒や、資源高などによる世界経済の減速懸念が株価の重しとなりそうです。ただ、ロシアとウクライナの停戦交渉は続いており、それに対する期待が株価を支える場面も見込まれます。また、米国が31日に石油備蓄放出を発表したことから、原油高圧力が一旦後退していることも、投資家心理を支援する可能性があります。

◆長期金利 :居所を探る

日銀は長期金利の上昇を受け、あらかじめ指定した利回りで国債を無制限に買い入れる指値オペを連日実施するとともに、国債買入れ額を増額し、金利上昇を抑制しました。また、日銀は31日に発表した4-6月期の長期国債買入れの四半期予定で、買入れ予定額を増額しました。超長期債の利回りも大きく低下しており、国内金利の上昇は一服した格好です。米長期金利や10年国債入札などを確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替 : 底堅い中、方向感乏しい

原油価格などの高止まりを背景にインフレ期待の高進が続く中、5月のFOMCにおいて、0.5%の大幅利上げの可能性が高まっています。とはいえ、米長期金利の上昇には一服感があること、日銀の黒田総裁と岸田首相の会談が行われるなど、円安へのけん制の動きがみられたことなどから、当面、ドル円の上値は限定的と想定されます。来週はドル円の底堅い地合いに変化はないものの、やや方向感の乏しい展開が見込まれます。

◆Jリート :値固め

東証REIT指数は、株価が上昇し投資家心理が改善したことに加え、指値オペなどで日銀が長期金利の上昇を抑制する姿勢を示したことも買い材料になり、29日には約2か月半ぶりに2,000ポイントを回復しました。長期金利の上昇一服に加え、東京都などへのまん延防止等重点措置が解除されたことを受け、経済活動の正常化やGoToトラベルへの期待もJリート市場を支えそうです。利益確定売りに押されながらも、底堅い展開が続きそうです。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(3月) 4月8日(金)午後3時発表

景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、2月に前月差0.2ポイント低下の37.7となりました。新型コロナウイルス感染症の影響で、家計動向関連では飲食関連など、企業動向関連では非製造業などが低下しました。

3月の現状判断指数は、小幅な上昇が見込まれます。新規感染者数が一旦減少の動きを示したことなどを背景に、家計動向関連、企業動向関連とも景況感がやや持ち直したとみられます。ただ、エネルギーなどの価格上昇が家計の実質購買力や企業の業績を圧迫する中、景況感の改善は緩慢なものにとどまる見通しです。

ISM非製造業景況指数(3月) 4月5日(火)午後11時発表

米供給管理協会(ISM)が発表した2月の非製造業景況指数は、56.5と1年ぶりの低水準に低下し、市場予想を下回りました。企業は、新型コロナの影響が長引く中、サプライチェーンの障害が残るほか、インフレ高進や労働力不足の影響を受けた模様です。

当面、サプライチェーンや人材確保などの面で課題が残る可能性があるほか、今後は、緊迫した状況が続いているウクライナ情勢の悪影響が注目されます。3月の同指数は58.6程度を想定しています。

 

 

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